MOMO 3号機の成功からわずか数か月しか経っていないが、ISTは早くも、MOMO 4号機の打ち上げを計画している。現時点で打ち上げは2019年夏の予定で、詳細な日時などは後日発表するとしている。4号機は、3号機の予備としてあらかじめ用意していた部品を活用して造るとしており、それにより短期間での打ち上げが可能になったという。
この4号機にも、3号機と同様にスポンサーが集まった。ネーミングライツを取得したのは、マッチングアプリを運営するpaters(ペイターズ)。これにより今号機のロケットには、特別に「ペイターズドリーム MOMO 4号機」という名前が与えられている。また、メガネやサングラスなどの販売を手がけるオンデーズ(OWNDAYS)もスポンサーとなり、機体の側面に社名を掲載。さらに3号機でもスポンサーになった実業家の丹下大氏により、フェアリング(先端部分)に「宇宙(そら)にシフト!」という文字が掲載される。
そして、このMOMO 4号機では、大きく7つの、世界初の、そしてユニークな宇宙ミッションに挑む。
1つ目は、「宇宙から折り紙飛行機を飛ばす」こと。まず、MOMO 4号機が宇宙空間まで飛行したのち、そこから折り紙飛行機を放出。その後、折り紙飛行機は滑空飛行し、宇宙から地球へ帰ってくる。折り紙飛行機は3機搭載し、MOMO 4号機の打ち上げにあたって行われるクラウドファンディングで支援したすべての人の名前を記載するという。
宇宙から折り紙飛行機を飛ばすという計画は、広島県で精密金属加工を手がけるキャステムの戸田拓夫氏が発案し、長年夢に抱いてきたもの。かつては国際宇宙ステーションから放出する計画が立ち上がったことがあったものの、頓挫したという経緯をもつ。今回実現すればもちろん世界初である。
MOMO 4号機から折り紙飛行機を飛ばす想像図(提供 インターステラテクノロジズ)
2つ目は「日本酒を燃料に宇宙へ飛ぶ」こと。これは和歌山県海南市にある平和酒造のプロジェクトで、同社の日本酒「紀土(きっど)純米大吟醸 宙(そら)へ!!」を、MOMO 4号機の燃料に加え、実際にエンジンを動かして飛ばす。また、この日本酒は市販もされており、売り上げで得た利益のほぼすべてがスポンサー費用となるという。折り紙飛行機同様、ロケットの燃料にお酒を添加して打ち上げるのも、もちろん世界初である。
3つ目は高知工科大学が提供する「インフラサウンド・センサー(超低周波音マイク)」の搭載。インフラサウンドとは、人間の耳には聞こえない超低周波音のことで、津波・雷・台風・噴火など、災害をもたらすような大規模な物理現象によって発生する。そのため、この音を詳しく研究できれば、防災などに大きく役立つという。
さらに、飲食業や食品販売を営むGROSEBALは「とろけるチーズハンバーガー」を、コーヒー製造、販売を手がけるサザコーヒーは最高級コーヒー豆「パナマ・ゲイシャ」を搭載。またオンデーズは、宇宙船・航空機の部品に使用されている特殊素材をフレームに使用した「AIR Ultem」を、そして資産運用業を営むレオス・キャピタルワークスは、同社が運用する投資信託「ひふみシリースズ」のイメージキャラクター「ひふみろ」のぬいぐるみを搭載する。
MOMO 4号機の燃料の一部として使われる、平和酒造の「紀土(きっど)純米大吟醸 宙(そら)へ!!」(提供 インターステラテクノロジズ)