政策のない自民党と、エッジの立った政策をぶつける野党統一候補の一騎打ちとなった参院・宮城選挙区の面白さ
前掲のツイート群ですでに「世襲男性候補」と「新人女性候補」のどちらが優秀かは明確ではあるが、実際に自民党・愛知候補のパンフレットに目を通すまでは、軽々しく判断を下すわけにいかない。 そこで編集部は仙台に急行。両陣営のパンフレットを入手し、比較を行ってみた。
まず愛知治郎陣営のパンフレット。「政策」と書かれた部分では、次の4つの項目が書かれていた。見やすく、目立つデザインではある。
【政策】
●復興のその先へ災害から国民を守り抜く
さらなる復興を後押しする力強い掲載の実現と、その先へ進むための支援、災害から生活を守る強い街づくりを進めます。
●子供の未来を守り抜く!
子育て支援や教育改革に取り組み、子供たちが未来に夢を描ける、子供たちに胸を張れる政治を実行します。
●安全保障は国の柱 国民の安心・安全を守り抜く!
・国土・国民の安全保障
・食の安全保障
・エネルギーの安全保障
●力強い経済
築き上げてきた資産を未来に生かし、より大きく成長する経済を作り上げます。
「政策」と書かれた部分は、この4つが掲げられているだけなので、非常に引用しやすい。
他には、政策欄の右側に、次のような文言が書かれていたことも補足しておこう。
“国民の生命・身体・財産を守るため、憲法がどうあるべきか、自衛隊の役割を含め議論しなければなりません。もちろん安全保障もまずは外交であります。力ではなく外交カードであるODA(政府開発援助)を改めて戦略的に見直し活用していくべきです”
“気候変動は食料安全保障にも大きな影響を与えます。この変化に対し、機動的かつ的確に対処し、台風や洪水などの自然災害から国民を守るため国土強靭化を進めてまいります。”
“農業の担い手を育て、水産資源を守り、日本の食を確保します。”
“富を生み出すためには1800兆円の家計金融資産を有効に活用することが必要であり、そうすることでデフレ脱却を確実にし、力強い経済成長を実現します。また、それをけん引する人材を育てていくために教育改革にも取り組んでまいります。”
確かに、字面は立派ではある。ぜひ進めてもらいたいと思う。
また、パンフレット裏側には前掲ツイート通り、復興の推進と日本の安心・安全を神社に祈願している様が描かれていた。
一方の石垣候補パンフレットはこれだ。
表紙こそ政策についての言及はないが、ページをめくると熱量を感じる文字数とグラフを使って仔細に渡り政策を説明している。
また、さらに中を見ていくと、立憲主義、差別、地方の問題、震災復興、少子高齢化などについて具体的なアイデアを語っている。
まず目立つのは明確な主張。「あげるべきは賃金であって消費税ではない!」だろう。愛知候補のパンフレットでは、党の方針である消費税増税決行については何も触れられていないのと対象的だ。
その根拠や、財源の「代替案」についても、細かく説明がされている。
また、少子高齢化や地方格差解消、震災復興、差別や人権についても以下のような主張を挙げている。
【少子高齢化】
子供を育てる環境作りのために、まずは大人が「余裕」を持てる社会づくりとして、賃上げを筆頭に、教育や保育従事者の就労環境改善を挙げている。
【地方格差解消】
地方再生は「アグリファースト」を掲げている。第一次産業に従事する人々が安心して仕事をし、生活ができる社会を目指すことで第一産業の活性化を促すという。また、子育て環境の充実や小さくても新しい産業分野の誘致など、それぞれの地域と人々の実情にあった方法で過疎対策を行うとしている。
【震災復興】
地元企業を支援し、復興を地元経済の活性化に繋げるとしている。また、原発については再稼働の是非を問う前に、正確な情報の開示と説明のもとに原子力ありきのエネルギー政策を見直していくべきであるとしている。
【差別・人権】
多様性は社会を強くするという信念のもと、女性差別だけでなくLGBTQ+や外国人への差別などに反対し、世界標準の人権意識を根付かせるとしている。
愛知治郎候補のパンフレットに書かれていたこと
石垣のりこ候補予定者のパンフレットに書かれていたこと
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