このため他国では、米国へ渡航する人向けにSNSで避けるべき投稿を特集するメディアも出てきている。インドのメディア
「ザ・ハンス・インディア」の記事ではSNSを利用する注意点として「政治的発言は投稿しないこと」「暴力的行為には強く反対の意思を示すこと」「パーティーに参加している写真の投稿をしないこと」「米国に住むつもり、などと投稿しないこと」「怒りを表現したりわいせつな投稿はしないこと」「投稿を削除したり非公開にするのは怪しまれるのでしないこと」などを挙げている。
これらを守らなければならないとしたら、発言と表現の自由を奪われることにもなりかねない。またビザ申請者のSNSを細かく調査するということは申請手続きにこれまで以上に時間がかかり、留学生が新学期スタートまでにビザを取得できないトラブルも続出するのではないかとの懸念も出ている。
日本人の場合は短期の渡米ならばビザ申請の必要はないが、渡航時の入国審査で個人情報の提出を求められる可能性もある。現在、トランプ政権になってから米入国審査時にスマホなどの端末機器の提示を求められるケースが激増しているという。
米ネットメディア「
Parallax」によると、最近大きな話題となった事例では、webブラウザ開発モジラの元トップ技術者でアップル社の社員である米国人アンドレアス・ギャル氏が、米国境警備局(CBP)の職員に携帯端末を提示するよう執拗に要求されたが断わったため、入国手続きをスピーディーに行えるグローバルエントリー・カードを没収されるということがあった。米国人でさえこうなのだから、外国人ならなおさら、どんな扱いを受けても不思議ではない。端末機器の没収や断れば入国拒否も、己の身に降りかからないとは限らないということだ。
ちなみに米国へ渡航することが多い筆者はかつて、個人情報を検索する米国のウェブサイトで自身の情報を検索したところ、指紋情報が出てきて驚いたことがある。指紋押印は米国の入国審査でしかやったことがないのだが、なぜネットに流出しているのか。恐ろしい限りである。
(取材・文/水次祥子)