パチンコホールの存亡がかかった「第二のふるい」はその1年後にやってくる。
2021年1月末。ここまでに全旧規則機の撤去が完了せねばならず、現時点でその数はパチンコ・パチスロを合わせ200万台以上とも言われている。それも2020年末に多くの遊技機が設置期限の満了を迎えることから、そのタイミングで100万台近くが同時に撤去される事になる。
いまから遡る事10数年前にもパチスロ4号機一斉撤去という事があったが、あの時とは業界全体としても個社個店にしても経営的な体力が比べ物にならない。この10年、パチンコファン人口は右肩下がりで減り続け、業界全体の売り上げ規模も大きく減少している。その一方でホールの大型化や設備の最新化が進み、遊技機の価格は高騰し続けている。
仮に自社ホールの遊技機を全台新規則機に入れ替えたとして、果たしてそのモトは取れるのか。ホール経営者たちの眉間の皺は深い。
消費税増税、禁煙化、新規則機全面移行……業界関係者の苦悩
消費税の増税(19年10月)に、ホール禁煙化(20年4月)に加えての新規則機への全面移行。来たる参議院選に向け、パチンコ業界の「族議員」を輩出しようと、業界関係者らが気勢を上げるのには、抜き差しならない業界の事情がある。
「でもね、ここが踏ん張りどころと思ってやるしかない。カジノの問題もあって、世間的な風当たりは厳しいけど、今が一番つらい時だからこそ、ここを乗り越えればパチンコ業界はまた良くなると信じてやるしかない」(前出の営業部長)
産業規模で考えれば、全国にいまだ1万店舗を数えるパチンコは、ファン人口に対して供給過多の傾向にあり、先2年間の「ふるい」によって需給バランスが改善されれば産業としては上向くかはどうであれ、下げ止まりにはなる。
どれだけのパチンコ店が、2021年を迎える事が出来るのか。
時代のふるいにかけられ、経営姿勢として旧態依然としたパチンコ店は淘汰される。撤去されるのは遊技機だけではない。変わる事が出来ないパチンコ店は、店ごと「撤去」されてしまう。
<文・安達 夕
@yuu_adachi>