都営住宅で進む高齢化、孤独死や買い物難民に陥る危険も

独居の高齢者が増え、孤独死したり、買い物難民になる危険

 承継や収入の条件が厳しいため、都営住宅には一人で暮らす高齢者が増えいている。中には、孤独死する人も少なくないという。  『都営住宅入居者募集のご案内』(2019年5月)には、居室内で病死等があった住宅が353戸掲載されている。事故の内容は、「病死 翌日発見」や「不詳の死 約100日後発見」、「室内で自殺 3日後発見」となっている。小山さんによると「これらの多くが高齢者の孤独死」だという。  また、高齢者が単身での生活を強いられ、買い物難民に陥ることも少なくない。小山さんが居住する光が丘パークタウン(東京都練馬区)は、都営大江戸線の光が丘駅を降りてすぐのところにある。しかしパークタウン自体は広大で、場所によっては駅から距離がある。  足の悪い高齢者の中には、駅前まで買い物に行くのに片道40分かかる人もいるという。筆者が取材中も買い物袋を提げた高齢の女性が、団地内の手すりにつかまってゆっくりと歩いていた。声をかけると「もう疲れちゃって」と辛そうにしていた。

全国公営住宅協議会では署名集め

 小山さんが5月25日に「暮らしやすい都営住宅懇談会」を開催したところ、60人を超える人が参加。参加者からは、「親が死んでも同居人が引き続き都営に住み続けられる制度に戻してほしい」、「立ち退きを求められる政令月収の上限を15万8000円超から従来の20万円超に戻してほしい」といった要望が寄せられた。  こうした制度の改正を求めて、全国公営住宅協議会では署名集めを行っている。小山さんは、「住宅が足りず、申込み倍率は30~250倍にもなっている。誰でも安心して入居できる都営住宅をもっと建設してほしい」とも話していた。 <取材・文/HBO取材班>
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