男性の育休義務化へ。育児・家事時間の男女差を解消、少子化解決を目指す

 日本では昨今、「イクメン」という言葉が使われるようになった。  一方で、「ゼロコミット男子」とよばれる家事育児を全くしない男性が、約7割に上るという統計データが出ている。  このような状況が少子化や女性活躍の妨げ、ひいては離婚に至る要因の一つとして考えられることから、この問題には真剣に向き合う必要性がある。  そんな中、自民党の有志議員らによる男性育休義務化についての議員連盟(以下議連)の設立総会が6月5日に開かれた。  それを受けて6月13日に参院議員会館にて開催された勉強会には、議連メンバーの話を聞こうと、女性はもちろん育休に関心のある男性参加者が集結した。

男女で差がある育休取得率と家事育児時間

 総会には、希望する誰もが保育園に入れる社会を目指す「みらい子育て全国ネットワーク」のメンバーも参加。代表の天野妙氏は、同ネットワークができた背景を説明した。 「日本では待機児童問題や女性の家事育児の負担など、子育てしにくい状況がある。そこで、私たち現役の子育てに関わる当事者が、子育ての概念をアップデートするために活動している」  男性が積極的に育児へ参加するように、行動変容を促すこと。男性の家庭進出や産休の普及をしていくこと。このような想いを持って団体を立ち上げたという。  また、現状の育休取得率と家事育児時間についてもこう話した。 「育休取得率も男女ではかなり差がある。女性が80%を越えるのに対し、男性の育休取得率は6.16%しかない。また、6歳未満の子供を持つ親が家事・育児に費やす時間も、男性が1.1時間に対し女性は7.7時間。約7倍も女性が育児に時間を費やしている」  このような問題を解決するために、議連を中心に話が進めてられている男性の育休義務化。団体がTwitterにてアンケートをしたところ、実に90%近い賛成の回答が得られたという。育休期間についても、半数以上が1ヶ月以上を望むという声が上がっているとのこと。  しかし、ポジティブな意見が寄せられる中、「中小企業では育休が十分に取れない」「役に立たない男性が家にいても意味がない」などの反対意見も出ており、育休義務化を進める上では、克服しなければならない課題も残る。

「男性の育休義務化が少子化解決の布石になる」

 こうした課題と向き合い、男性が家事育児を積極的にする世の中を作るために、現在の議連ではどのように話されているのか。  自由民主党の和田義明衆議院議員と同じく自由民主党の松川るい参議院議員は、議連で取り交わされている話題を交えながら、参加者とともに討論を行なった。  和田議員は「男性育休義務化の議連を立ち上げた理由の1つに、マクロ的視点から見る国の問題点として少子化が挙げられる。人口減少問題に対して、これまで決定的な解決策がないことに対し危機感を抱いていた。この育休義務化が、少子化問題解決の布石を打てるのではと思い立って議連を立ち上げた」と語った。  和田議員も5歳の子供を持つ父親。自身の子育ての経験から批判を覚悟で育休義務化に取り組みたいと意気込んだ。 「夫婦共に子育てをすることで、家族との絆を深められ、有意義な子育てライフを送れる。このような原体験があるので、中途半端な考えではなく、育児休暇のパラダイムシフトを起こす覚悟でいる。あえて、批判を甘んじて受ける覚悟のもと義務化という打ち出しをすることで、世の中を変えるゲームチェンジャーのような意気込みで取り組んでいく」  一方で、二児の母である松川 るい議員は、女性の観点から育児に対する率直な意見を述べた。 「私は、男性と女性の間で育児に費やす時間が違いすぎることに違和感を持っていた。何年も前からもっと家事育児をやろう、良い研修になるからイクメンになろうと働きかけても、女性という立場ゆえに周囲の反応は芳しくなかった。そんな時に、和田議員が義務化についての議連を立ち上げる話を聞いて、男性自身も育児に関心があると確信が持てた」  男性自身も子育てをしていくのが当たり前の世の中にする。  そのためには、男性の育休取得が敬遠される企業の風土や仕事の属人化による職場離脱のしづらさなど、男性が育休の申請をしない問題を解決していく必要がある。 「このような状況を打破するには、『子供が生まれた時はどのくらい育休を取りますか?』と企業からPush型で育休を働きかけるということを一斉に導入していかないと変わらない。また、国も育児に対しての金銭的な負担を減らすだけでは少子化対策の抜本的な解決には至らないと思う。だからこそ男性育休の義務化実現に向けて動いていきたい」
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少子化対策のためにも社会全体で子育てを
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