「大前提として、安倍首相には最初から実行する気がないと見るべきでしょう。というのは、消費税増税の延期は非常に強力な政治カードだから。参院選を控え、官邸から観測気球が揚がり、野党は衆参W選に警戒を強めているが、このように掻き回すことができるのも政治カードを握っているからで、過去にも選挙用のカードとして利用してきたのです」
実際、自民党若手議員からは、「消費税増税延期でW選挙だ」と威勢のいい声も聞こえる。荻原氏は、首相が増税できない最大の理由を明かした。
「今後、日米自由貿易交渉が本格化するが、トランプ大統領は日本の消費税を非関税障壁と見做して批判している。消費税は、海外の消費者に売った製品には課税できないので、輸出企業には仕入れにかかった消費税を払い戻す『輸出戻し税』という仕組みがあり、還付金は年間約5兆円にも達する。トランプ大統領はこの『輸出戻し税』を、輸出産業への“補助金”と認識し、米国が対日貿易赤字を抱える要因のひとつと見ている。10月に消費税増税に踏み切れば、日米貿易交渉への悪影響は免れない。ドナルド・シンゾーの仲の安倍首相は、増税を再々延期するほかないでしょう」
2度あることは3度ある?
取材・文/斎藤武宏
― ゼニズバッ! ―