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5月18日、WHO(世界保健機構)の総会において、「国際疾病分類(ICD11)」に、新たに「ゲーミング障害」を追加した。いわゆる「ゲーム依存症」の話である。2022年から正式に登録され、社会・医学的な見地から様々な研究が行われることになる。
WHOによればゲーミング障害とは、ゲームをしたい衝動が抑えられなくなり、健康を損なうなど問題が起きても続けてしまう特徴があると定義されている。家族や社会、学業、仕事に重大な支障が起き、こうした症状が少なくとも十二カ月続いていることが判断の基準ではあるが、重篤な場合はそれより短い期間での判断もあり得るとしている。
日本でもネットやスマホ依存は大きな社会問題にもなっており、そのうちの多くはネットゲームに興じていることから、対策の大きな切掛けになると歓迎の声も上がっているが、最近なにかと話題に上る「eスポーツ」は、今回の「ゲーミング障害」の疾病認定によって何かしらの影響を受けるのだろうかとの疑問も持ち上がっている。
eスポーツとは「エレクトロニック・スポーツ」の略であり、ゲームを利用したスポーツ競技の事を言う。「ゲームがスポーツ?」という違和感を持つ人も多いが、アメリカや中国をはじめ海外では大人気の紛う事のない新ジャンルのスポーツである。
2022年のアジア競技大会ではeスポーツが正式競技として採用されると報じられており、今後オリンピック競技としても検討されるという。そのゲームの内容は、サッカー等のそれこそスポーツゲームのほか、レース、格闘、シューティングに戦略戦闘、カードバトルと様々な種類がある。
つい先日の5月25日、一般財団法人日本esports促進協会(JEF)が設立され、「後進国」と言われていた日本でも、eスポーツの素地が整えられつつある。
このような動きに企業も敏感に反応し、大手中小問わず、eスポーツへの参入を表明する企業が続々と名乗りを上げている。本年8月に開催される茨城国体でも、eスポーツが文化プログラムとしてではあるが、初めて取り上げられることになったのも時流の流れであろう。
ネット依存やゲーム依存等、何かと社会的な問題として取り上げられがちな「ゲーム」ではあるが、このようなeスポーツの潮流は、急速な市場拡大も相まって、ゲーム業界にとって願ったり叶ったりの状況である。
そこに、今回のWHOによる「ゲーミング障害」の疾病認定の報である。
日がな一日ゲーム画面と向き合う「プロゲーマー」たちは、「ゲーミング障害」にはならないのだろうか。