いよいよビルの二階、民弁事務所の会場へと向かいました。
民弁事務所内講演会場2019/05/24
なかなか良い会場ですが、聴衆が想定と全然違います。
やっても〜た〜!感が強いです。サイマル(同時通訳)をお願いすべきでした。こちらの英語が完璧ならなんとかなりますが、14年使っていない錆サビのボロ英語です。大学内でのコロキウムと同じと思っていたのに!
右手に立派な予稿集があります。なんと、全韓国語訳した分厚い冊子です。リソグラフで印刷した即興の冊子と違います。私は勘違いして直前に予稿を送っていました。えらい迷惑をかけています。日本の大学の貧しさをこういうところで実感できました。
ずいぶん立派な冊子です。
韓国語訳されたHBOLの記事
なんと、HBOL 2018/09/04掲載記事が全文韓国語訳されています!
思うのですが、韓国側は本気でこの福島核災害問題に取りかかろうとしているようです。なにしろ、共同主催者は、韓国脱核エネルギー学会準備会です。民弁と大学のタッグで、これは凄い戦力になりそうです。しかも今は、新・化石資源革命と再生可能エネ革命のまっただ中です。今日では、かつて唄われた原子力の経済性、供給安定性、安全性、信頼性すべてが吹き飛んでいるという環境があります。
一方で、韓国はハンビッ1号炉の重大インシデントのような危うさがありますが、第三世代プラス炉(APR-1400 3G+)*の輸出を行う、サウジアラビアとの小型モジュール炉(SMR)建設の協定を結ぶ**など、たいへんに優れた面も持ちます。また、核燃料サイクルを行っていない、WH系CE系フラマトム系と言った多様なPWR技術を導入できただけでなく、CANDUというたいへんに優れた柔軟性の高い炉も実用炉として導入しています。
<*”
NRC: Design Certification Application Review – Advanced Power Reactor 1400 (APR1400)”
**”
サウジアラビア:「SMART」炉の技術で韓国と協力契約締結 | 一般社団法人 日本原子力産業協会” 2015/09/07>
実は、韓国の商用原子力産業そのものは日本より優れている、日本が核燃料サイクルの底なし沼でもがく間に追いつき追い越した側面もあります。
その一方で、ハンビッ1号(WH系 PWR)炉反応度重大インシデントをおこしたり、ハンビッ4号炉(CE系System80 PWR)格納容器に大穴が見つかる*など、思わず“ケンチャナヨー“**とつぶやいてしまいそうな間抜けな面もあります。
<*:”
ハンビッ原発4号機の防護壁に大きさ2メートルの超大型の穴 : 政治•社会 : hankyoreh japan 2018/11/12 “>
**:괜찮아요 沖縄弁の「テーゲー」 宮崎北部弁の「てげてげ」に類する言葉。「大丈夫ですよ」という意味だが、実は根拠がなかったりする。原子力で「てげてげ」や「ケンチャナヨ」は困ります>
今回はここまでとし、次回、私の講演を、次いで後藤政志さんの講演、その後総合質疑について、帰国編と覚えている範囲で執筆します。
『コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」』”東京電力「トリチウム水海洋放出問題」は何がまずいのか?”第二部・韓国講演編1
<取材・文・撮影/牧田寛 Twitter ID:
@BB45_Colorado >
まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題についての
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