内定辞退をするときは直接訪問? 学生の声は「必要がない」「ハラスメントされた学生も」

「直接企業を訪問した学生の話は聞いたことがない」

 同じくマスコミで働く新社会人の女性も「内定を辞退するために、企業を直接訪れた人の話は聞いたことがない」と話す。 「私は今勤めている会社とは別の会社から内定を貰っていましたが、メールで辞退の連絡をしました。友人もメールや電話で辞退しており、直接企業に訪問したという話は聞いたことがありません。今は売り手市場で、複数の内定を持っている学生も多くいます。全ての企業を訪問するのは面倒くさいですよね。  それにインターンをしていた企業や小規模の企業で担当者と距離が近いならまだしも、大企業の人事担当者にわざわざ連絡を入れて訪問するでしょうか。担当の方にとってもかえって迷惑なのではないでしょうか」  インターンやアルバイトでお世話になっていたならともかく……と感じる学生は多い。社員との関係が深くなく、書類選考と面接だけで内定を貰ったという場合、わざわざ担当者に会いに行く必要はないだろう。

訪問して内定辞退し、ハラスメントを受けた学生も

 メーカーで働く女性も、このマナーには反対だという。 「直接訪問すべきだという意見には反対です。学生の立場からすると、行きづらいというのが正直なところです。企業の中には、選考を通過できなかった場合、何の連絡もしてくれない『サイレントお祈り』の企業もあります。そうした企業に対して、どうして律儀に接しないといけないのでしょうか。  友だちの中には、大手の保険会社からの内定を辞退するとき、直接来るように言われて出向いたという人がいました。すると個室で学生1人に対して、社員3人で『うちにした方がいい』と圧迫されたといいます」  人材系の企業で働く女性も「直接訪問する必要はないと思う。交通費も掛かるし、合理的ではない」と話していた。  経営者や人事担当者の立場からも、疑問の声が出ている。残業の削減に成功したことで知られるシステム開発会社・アクシアの米村歩代表取締役も、「直接会うのが礼儀ではないですよね。むしろ余計な時間とられて困ります。辞退するなら早めに伝えてもらうのが企業としても助かるはずなので、できるだけ早くメールや電話で伝えるのが良いと思います」とツイートしていた。  学生にとっても、人事担当者にとっても迷惑な“謎マナー”。記者がなぜこのような記事を書こうと思ったのか、人材系の女性は「意図がよく分からない」と首を傾げていた。 <取材・文/HBO取材班>
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