進むLGBTへの理解、「令和」に引き継がれた課題は? 東京レインボープライド参加者の声から

ズボンの制服をはかせてもらえなかった学生時代

染谷カツオさん

染谷カツオさん

 染谷カツオさんは、トランスジェンダーの男性。レインボープライドには5年前から参加しているという。 「2012年には4500人だった参加者数が、2018年には15万人にまで増えました。会場も広くなり、パレードの参加者数も増えました。  僕は高校1年生で、性自認に気が付きました。制服のスカートをはくのが嫌で校長先生に直談判したのですが、個別対応は難しいということで、ズボンをはかせてもらうことはできませんでした。ところが最近、地元の別の学校では、女性でもズボンを選べるようになったと聞きました。確実に変化が訪れていると感じています」  2004年には、特例法(性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律)が施行され、性同一性障害の人が戸籍の性別を変更できるようになった。ただし、性別を変更するためには、20歳以上であることや未成年の子供がいないこと、生殖腺がないことなどが条件になっている。 「男性なら精巣、女性なら卵巣を手術で摘出しなければ、戸籍を変えられないというのは問題だと思います。例えば現状、同性婚ができないため、僕が女性と結婚しようとすると、僕が手術を受けて、戸籍を変更しなければなりません。個人が制度に合わせないといけないのはおかしいと思います」

カミングアウトして就職活動する学生も出てきている

 東京レインボープライドに参加するのは3回目だというゲイの男性(20代)にも話を聞いた。1~2年前と比べると明らかに人が増えているという。 「LGBT当事者ではないけれど、理解をしてくれている『アライ』の人々が増えているのが印象的です」  普段は会社員として働いているという男性。カミングアウトしていないため、苦労することもあるという。 「結婚の話や恋人の話を振られると困りますね。僕には彼氏がいますが、彼氏の話を彼女の話として話しています。ただ僕より下の世代では、就職活動の時点でカミングアウトしている学生も少なくないと聞きます。時代の変化を感じますね」 <取材・文/HBO取材班 撮影/菊竹規>
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