外国人を「労働力」としか見ない日本政府。その一方で草の根で若者たちが広げる希望<安田浩一氏>

外国人を「知る」ということ

―― 団地の試みは全国に広げていくべきです。そのためには何が必要ですか。 安田:外国人に対する偏見をなくすことです。最初に述べたように、日本では移民は認められておらず、外国人はいつか母国に帰る労働力、治安を乱す他者といった受け止め方をされています。また、テレビで外国人の話す日本語を馬鹿にするような番組が放映されることも珍しくありません。日本人だって海外で下手くそな英語を使っているにもかかわらず、許しがたいことです。  外国人に対する偏見は、日本人と外国人の間に壁を作ってしまいます。これではいつまでたっても外国人と共生はできません。  こうした壁を壊していくためには、何よりもまず、外国人を知ることが必要です。「知る」とは決して外国人と同化することではありません。その地域に中国人がたくさん住んでいるからといって、中国語をしゃべったり、中国文化に染まる必要はありません。相手の立場になりきり、心情を全て理解する必要もありません。  そうではなく、お互いの違いを知ること、お互いに異なったバックボーンを持っているということを知ることが大事なのです。  私がこう考えるようになったのは、ヘイトスピーチを取材してきた経験からです。たとえば、在日コリアンにヘイトを浴びせる人間は、在日コリアンが歩んできた歴史、在日コリアンがどういう経緯で日本社会の中で暮らすようになったのかということを全く知りません。知らないからこそデマや偏見が生まれるのです。知らないからこそデマに踊らされ、偏狭なナショナリズムが肥大化していくのです。

排外的な空気に負けない新しい動きも

 今後、日本では外国人が増えていきます。私たちは否応なしに外国人のことを知らざるをえない状況に置かれることになります。そうなれば、外国人に対する偏見もなくなっていくはずです。  私はこの点については非常に楽観視しています。日本では排外的な空気が強まっている一方で、それに負けずに新しい社会づくりを目指している人たちもいます。特に団地では若者たちが活躍しています。彼らの取り組みの中から新しい日本社会のあり方が生まれてくるはずです。私はそこに期待しています。 (4月1日インタビュー、聞き手・構成 中村友哉) やすだこういち●「週刊宝石」などを経てフリーライターに。事件・社会問題を主なテーマに執筆活動を続ける。外国人労働者やヘイトスピーチ、異文化共生などのテーマで数多くの著書を持つ。最新刊『団地と移民 課題最先端「空間」の闘い』(KADOKAWA)も必読の書
げっかんにっぽん●Twitter ID=@GekkanNippon。「日本の自立と再生を目指す、闘う言論誌」を標榜する保守系オピニオン誌。「左右」という偏狭な枠組みに囚われない硬派な論調とスタンスで知られる。
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月刊日本2019年5月号

特集1【消費増税凍結・衆参ダブル選挙へ】
特集2【外国人労働者を喰い物にし続けるのか】
特集3【楽天・三木谷浩史の光と影】



団地と移民 課題最先端「空間」の闘い

そこは外国人、高齢者をネトウヨが襲う「空間」と化していた。最前線ルポ!

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