「ラブライブ!」公式サイト乗っ取りから考える、ドメインの持ち主は変わるという事実

ラブライブ公式サイト

正常に戻ったラブライブ公式サイト

「ラブライブ!」公式サイト乗っ取り事件

 今月の初頭、4月5日未明に、人気アニメ「ラブライブ!」シリーズの公式サイトが乗っ取られた。元々のドメイン所有者は「SUNRISE INC.」だったのだが、「UenoKaho」と名乗る人物が登録者となり、サイトの内容が書き換えられた。サイトには以下のような文書が掲載された。 >ラブライブは我々が頂いた! > >我々がラブライブを入手する際、 >手の込んだプログラミングを行なったり、 >こっそりとデータを傍受したりする必要はなかった > >我々の方法は、移管オファーを行い元所有者が移管オファーを承認しただけだった >元所有者はこれだけであっさりと、ラブライブ!を、我々へと移管してしまった 「~.jp」という汎用JPドメインの移管の仕組みを悪用して、乗っ取ったのだろうと推測される。  こうした乗っ取りが可能なのだろうということは想像が付く。私も昔、ドメインの移管を検討した際、サーバー会社のマニュアルを読んで「これは乗っ取れるんじゃないか?」と疑問に思い、調査をしたことがある。すると、過去には乗っ取りが可能であり、数年前に対策が行われたことが分かった。

人が作るルールには穴がある

 人が作るルールには穴がある。そして穴が空いたまま気付かないことが多い。そのため、穴が発見される度に、きちんと塞がなければならない。 「ラブライブ!」公式サイト乗っ取り事件のあとネットに上がってきた情報を追うと、汎用JPドメインでは、不正なドメイン移管を防ぐ仕組みが存在しないことが分かった。  また、移管が申請されて10日以内に拒否の回答をしない場合には、同意したと見なされる規約になっていた。汎用JPドメイン名登録申請等の取次に関する規則の第11条、第2項には、このようにある。 >第11条(取次にかかる登録申請等に対する決定の伝達業務) > > 2 当社が、指定事業者に対して登録者の意思確認等を依頼した場合、指定事業者がその依頼のときから10日以内に登録者がその意思を有しない旨の回答をしない場合には、指定事業者において登録者の意思確認等を行い、登録者がその意思を有する旨の回答を得たものとみなす。  ドメイン名登録サービス会社の多くは、「意思を有しない」と自動的に回答するようになっている。しかし事件が起きた時点で、業者によっては回答しないところもあった(参考:不正移管によるドメイン名ハイジャックについてまとめてみた – piyolog)。起きるべくして起きた事件だということだ。
次のページ
どんな手口で行われた?
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会