ウィキリークス創設者アサンジ氏が暴露した「米国の戦争犯罪」が凄まじすぎる

米国機密情報70万件以上をウィキリークス上に公開

アサンジ氏

ウィキリークスのツイッターでは、アサンジ氏逮捕を懸念する書き込みが殺到している

 4月11日に英国ロンドンで逮捕された、内部告発サイト「ウィキリークス」創設者ジュリアン・アサンジ氏。同氏は2010年に性的暴行容疑(本人は否認)で逮捕され、保釈中にエクアドルに亡命申請し、同国大使館に2012年8月から籠城していた。  今回の逮捕について、ロンドン警視庁は「定められた裁判所への出頭を怠ったため」と説明するが、米国司法省はアサンジ氏が政府の機密情報への不正アクセスに関与したとして同氏を起訴した。英国に引き渡しを求めている。  アサンジ氏は2010年、陸軍情報分析官(当時)のブラッドリー・マニング氏(*)が得た、対テロ戦争関連の米軍機密情報70万件以上をウィキリークス上に公開。米国政府関係者らを激怒させた。 (*)マニング氏はトランス・ジェンダーで、その後性別を男性から女性に変更。名前もブラッドリーからチェルシーに改名。  とりわけ、イラク首都バグダッドで米軍の攻撃ヘリがロイターの記者ら一般市民を銃撃して殺害した映像の流出は、米国防総省に強い衝撃を与えた。本記事では、ウィキリークスが暴露した膨大なイラク戦争関連の機密情報の中から特筆すべきものを取り上げる。

米軍ヘリによる、ロイター通信記者らの殺害

記者殺害

ウィキリークスが暴露した、米軍ヘリによる記者殺害映像

 米軍の攻撃ヘリ「AH-64 アパッチ」による攻撃で、ロイター通信の記者であるサイード・チャマグ氏(享年40歳)、ナミール・ヌール・エルディーン氏(享年22歳)らが殺害されたのは2007年7月12日のことだ。  バグダッド東部での掃討作戦中、米軍の攻撃ヘリのパイロットは住宅街を歩いているサイード氏、ナミール氏ら20人ほどのグループを発見。このグループのうち、2名ほどが自動小銃のようなものを持っていたことや、パイロットがサイード氏のカメラの望遠レンズをRPG(対戦車ロケット弾)と誤認したことから、丸腰の者も含めて30mm機関砲弾で掃射した。  ナミール氏は必死に逃げようとしたが、撃たれて死亡した。さらに、負傷して地面を這いずっていたサイード氏、彼を助けようとワゴン車で駆けつけた人々も攻撃を受け殺害されてしまった。国際人道法では、負傷者は戦闘員とはみなされず、敵味方関係なく保護するべきと定められている。  米軍の攻撃ヘリのパイロットがサイード氏を反米武装勢力メンバーだと誤認していたとしても、負傷者や救護者を攻撃した行為は、戦争犯罪とみなされ得る。実際、中東衛星テレビ局「アルジャジーラ」にコメントを求められた国際人道法の専門家は「戦争犯罪にあたる可能性が高い」と指摘した。  サイード氏とナミール氏が殺害されたことについて、ロイター通信は米軍に記録映像を開示するよう要求したが、米軍は開示を拒否していた。だが、ウィキリークスが前述のマニング氏から提供された映像を2010年4月に公開。米国を含む各国のメディアから米軍への批判が殺到した。
次のページ
米軍による拷問・殺害
1
2
3
4
5
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会