夢を見ることすら厳しい韓国の就活事情。しかし、厚い壁を破る若き成功者も

個人店はすぐに大企業に看板を吸収されてしまう

「韓国では個人店はすぐに大企業に看板を吸収されてしまうし、店を出す資金もなかった。アルバイトでは暮らせないし、就職以外に生きる選択肢がなかったのです」  1年かけて就活、晴れて公務員に採用されるも毎朝9時から22時まで働き、年収は3500万ウォン(約345万円)。サムソンに就職した同級生は年収1000万円だ。 「貧すれば鈍する」というが如く、夢を見る余裕すら奪う厳しい就活事情が窺えた。

同調圧力をぶっちぎった韓国の若き成功者たち

 このように、学歴もスペックも十分にあるように思えても苦悩を抱えざるを得ない韓国の就活事情。それならば、と個人店を出そうにも大企業に吸収されてしまう現実。  そして、一度脱落すると復活が難しい韓国社会では、特に若い世代の起業は危険視される傾向が強いのだ。また、成功するには家柄と裕福な親からの援助が必須と信じられてきた。  だが、’17年に発売された書籍『韓国の若き富豪たち』(イ・ジニョン著)には徒手空拳から成功を収めた平均年齢33歳(当時)、61人のサクセスストーリーが記されている(以下、年齢は刊行当時)。  3度の起業失敗を経て世に出した視覚障害者支援ガジェット「DOT ウォッチ」が年商50億円、GoogleとUberとも共同事業を行うキム・ユジュン氏(29歳)。大学を中退・渡米し開発した体重管理アプリ「noom」がDL数世界一、売り上げ10億円、資金調達50億円を達成したチョン・セジュ氏(37歳)。平凡なOLだったユン・ギョン氏(34歳)のハンドパック販売業「エンジェルアロマストーリー」は11億円の輸出企業に。男性コスメブロガーで兵役中も化粧をしていたキム・ハンギュン氏(32歳)が立ち上げたコスメブランド「コストリ」は現在、社員たったの24人で年商200億円を突破……など才気溢れるエピソードが綴られている。  親の零細事業を受け継いで成功させた例も。15歳のときに両親が生産するサツマイモの販路をオンラインで拡大し成功を収めたカン・ポラム氏(21歳)、ナムル当日配達サービス「ナムルトゥデイ」のソ・ジェホ氏(28歳)もその一人だ。  共通点は韓国の同調圧力や因習に縛られていない点だが、その一方、十分に成功しているにもかかわらず「大企業に就職しなかった」ということでいまだ親に認められていない、あるいはまだ親に言えてない人もいるという。  ただし、こうした成功者たちの存在が、韓国内の閉塞感を打破するきっかけになるかもしれない。 <取材・文・撮影/和場まさみ 小野田衛 安宿緑 安英玉> ― 超絶格差社会 高学歴貧困in韓国 ―
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