元トラック運転手が教える初心者ドライバーが陥りがちな罠。特に運転に慣れ始めた頃が要注意

若葉マーク

masa / PIXTA(ピクスタ)

「トラックドライバーが一般ドライバーに知っておいてほしい“トラックの裏事情”」をテーマに紹介している本シリーズ。  前回は、新生活がスタートすることで増えるサイクリスト(自転車に乗る人)に向けて、トラックや自動車から見る自転車の怖さを紹介した。  しかし、春に増えるのは「サイクリスト」だけではない。大学入学前や新卒入社前の春休みで自動車運転免許を取得した「初心者ドライバー」たちも一斉に「道路デビュー」する。  今回は、これまで筆者がトラックの車窓から見てきた初心者ドライバーの特徴や、彼らの身に降りかかる危険などを紹介していこう。  初心者ドライバーに降りかかる危険として、真っ先に挙げられるのが「煽り運転」だ。彼らはとにかく煽られやすい。その理由は、彼らの一般的な特徴のうち、以下3つが要因になっていると考えられる。

初心者ドライバーが煽られやすい3つの理由

1.運転マナーが分かっていない  日本の道路には、他国にはない独特の運転マナーが数多くある。車列に入れてくれたクルマにクラクション鳴らし手を上げ、合流した後はハザードランプまで光らせ礼を表する光景は、世界どこ探しても日本以外他にない。  免許を取ったばかりの初心者は、こうした「独特のルール」をまだはっきり把握できていないことがあり、また、たとえ分かったとしても、これら煩雑な作業を瞬時にこなすスキルがない。それを理解しない一般ドライバーが、「恩を仇で返しやがって」と激情し、煽り運転に転じる場合があるのだ。 2.ブレーキを踏み過ぎる 「前に追突してはいけない」と、必要以上にビクビク運転する彼らは、頻繁にブレーキを踏みたがる。  無論、ブレーキを踏めばクルマは素直に止まり、前方への衝突は避けられるのだが、彼ら初心者には、その自身の行為が、一方で後ろのブレーキランプを点灯させ、その度に後続車両の反感を買っているところまで考えが及ばない。  このブレーキランプは、いわば「直前に障害物がある」ことを後続車両に知らせるもの。差し当たり踏む必要のないブレーキを頻繁に踏めば、それは言わば「嘘」と同義となり、大いにイラついた後続車両による煽り運転だけでなく、渋滞をも引き起こす原因になる。 3.初心者マークを付けている  以前紹介した「煽る側・煽られる側の特徴」でも触れた通り、「高級車に乗った凡人」や「行き過ぎた正義感の持ち主」らにとっては、初心者ドライバーは格好の標的となる。  「自分の存在感を誇示する」ため、はたまた「罰を与えて思い知らす」ため、彼らは執拗に初心者ドライバーの後を追う。そんな中、運転免許取得から1年以内のドライバーが所定の位置への掲示を義務付けられている「初心者マーク」は、皮肉にも彼ら悪質ドライバーに向けた「目印」になってしまっているのだ。

「慣れた」と思った初心者が一番危険

 初心者ドライバーの特徴の中でもう1つ特筆すべきなのが、「事故を起こしやすい」ことだ。  今年3月にも、免許取得後1か月の高3男子が男性をはねて死亡させる事故を起こしている(参照)。が、厳密に言うと、本当に事故を起こしやすいのは「免許を取ったばかりの初心者」ではない。  これは筆者による勝手な分類だが、初心者ドライバーは、大きく「初期」と「後期」とに分けられる。  その境は、「運転技術の上達」や「免許取得からの経過日数」などではなく、「ドライバー自身が運転に『慣れた』と思うか否か」だ。  ドライバーが「運転に慣れた」と思った途端、その運転の仕方は無意識のうちに大きく変わる。
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事故が多いのは、「後期初心者」
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