前出の岡田氏も投資家から物件を請け負う民泊コンサルを手がける一人。現在、60軒ほどの民泊部屋を運営しており、ノウハウを蓄積中だという。
「物件選びから立地に合った収益最大化を図るためのインテリア設営。そして宿泊予約サイト用の写真撮影、ゲストとのコミュニケーション、清掃業者の手配まで、実務に関わるほぼすべてを行っています。売り上げを安定してキープするためには複数サイトに登録することもとても重要。AirbnbやBooking.comを同時に一括管理できるシステムを開発し、お客さんの取りこぼしがないよう努めています」
3月から4月はお花見シーズンのため価格を高く設定しているが、当面は予約で埋まる盛況ぶりだ
いくらブームが来ているとはいえ、差別化なしに稼げるほど甘くはない。それでも勝ち得る民泊物件とは、どんなものなのか?
「民泊は物件選びがすべて。ここで失敗すると、我々にもどうすることもできません。体感ですが、個人の方が選ばれた不動産では7割失敗するでしょう」(岡田氏)
では、具体的にどのような物件を選べばいいか。
「物件選びは立地がすべて。基本的には繁華街が望ましく、鉄板は新宿と渋谷。観光地だと浅草や秋葉原が根強い集客力を持っていますね。大型物件が多い地方にも注目しています。間取りは広ければ広いほどいい。ホテルとの競合や、今後、競争が激化することを見据えると、狭い物件では収益性を圧迫するからです。広い物件ならばベッドをたくさん置くことで、単価の高いグループ旅行の顧客を取り入れられる。この差は大きいです」(同)
岡田氏が運用する民泊物件は家賃の3~5倍の売り上げを記録。ここから運営代行に15%、予約サイトに3~10%ほどの手数料を払っても、相当な利回りだ。
だが注意すべき点はある。民泊新法が定める180日ルールだ。
「民泊特区である大田区や大阪なら365日営業可能ですが、基本的には年間180日しか営業することができない。よって、残りの日数は不動産をどのように運用するかも考えなければなりません。もちろん自分で住むのもいいですが、民泊の場合、不動産のオーナーとは転貸借契約を結んでいるので、マンスリー賃貸など民泊以外のまた貸しも可能です」(皆川氏)
ローリスク・ハイリターンを狙える民泊投資の出現により、売買や賃貸の時代は終わった。検討の余地は大いにアリだろう。
岡田 塁氏
【岡田 塁氏】
民泊コンサルタント。サムライ・インターナショナル代表。’14年から民泊に参入、現在は約60件を運営する。
https://hosting.airprofits.com/
皆川賢太氏
【皆川賢太氏】
個人投資家。’84年生まれ。ネット広告や不動産を手掛ける株式会社LIBERTY代表。個人投資家として、昨年末より民泊にも参入した
取材・文/櫻井一樹 浜田盛太郎