メガドライブの時代。スーパーファミコンとは違うもう1つの潮流

Marco Verch via flickr (CC BY 2.0)

メガドライブミニ(仮称)収録タイトル国民投票

『メガドライブ ミニ』(仮称)という復刻ゲーム機に収録されるタイトルを決める『メガドライブミニ(仮称)収録タイトル国民投票』が、2019年2月25日から3月4日の期間に行われた。発表は、明日3月30日から31日まで開催される『セガフェス2019』で行われる。  この情報を見て、古いゲーマーやオタクの人は「ほうっ、メガドライブか」と往時を懐かしむことだろう。しかし、そうでない人は「はっ? 何を言っているのだ」と意味が分からないという顔をする可能性がある。  多くの人は『ファミリーコンピュータ』(通称ファミコン)や『スーパーファミコン』は知っている。しかし、『メガドライブ』というゲーム機は知らないかもしれない。少し知名度が落ちるからだ。「いや常識だろう」と言う人は、立派なゲーマーかオタクだと思う。  というわけで、まずは『ファミコン』『スーパーファミコン』『メガドライブ』という3つのゲーム機の情報を掲載する。 ●ファミリーコンピュータ * 発売元は任天堂。 * 売上台数:日本1,935万台。米国3,400万台。世界6,191万台。 * 日本国外ではNintendo Entertainment System(略称NES)という名称。 ●スーパーファミコン * 発売元は任天堂。 * 売上台数:日本1,717万台。米国2,335万台。世界4,910万台。 * 欧米ではSuper Nintendo Entertainment System(略称SNES)という名称。 ●メガドライブ * 発売元はセガ・エンタープライゼス(現:セガゲームス)。 * 売上台数:日本358万台。米国2,000万台。世界3,075万台。 * 米国・カナダではGENESISという名称。  また、この時期の著名ゲーム機の発売時期を、年表形式に並べたものも掲載しておく。 * 1983年(昭和58年)7月15日:『ファミリーコンピュータ』発売 * 1987年(昭和62年)10月30日:『PCエンジン』発売 * 1988年(昭和63年)10月29日:『メガドライブ』発売 * 1990年(平成2年)11月21日:『スーパーファミコン』発売 * 1994年(平成6年)11月22日:『セガサターン』発売 * 1994年(平成6年)12月3日:『PlayStation』発売 * 1996年(平成8年)6月23日:『NINTENDO64』発売 『メガドライブ』は、『ファミコン』末期から『スーパーファミコン』時期に併存していたゲーム機だ。日本では『ファミコン』の1/5以下しか売れなかったが、世界ではかなり売れた。  当時の文化を知る人間には、『コロコロコミック』に対する『コミックボンボン』とでも言えば分かりやすいだろうか。王道の『ファミコン』『スーパーファミコン』に対して、マニアックなゲームや、海外発のゲーム、そしてセガのゲームが遊べる、そうしたゲーム機だった。

レトロゲームブームが後押しした復刻ゲーム機発売

『メガドライブミニ(仮称)』という復刻ゲーム機が発売される背景には、昨今のレトロゲームブームとでも言うべき潮流がある。  嚆矢となったのは、『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』だろう。2016年11月10日に発売されたゲーム機で、もとのゲーム機を二回りほど小さくした筐体に、多くのゲームが収録されたものだ。いったん生産が終了されたが、2018年6月28日に店頭販売が再開された。  また『ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン』も2017年10月5日に発売されている。さらに任天堂の最新のゲーム機『Nintendo Switch』では、有料オンラインサービスである『Nintendo Switch Online』に加入したユーザーは、無料で『ファミコン』(ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online)のゲームが遊べるようになっている。  こうした盛り上がりを受けてなのか、ソニー・インタラクティブエンタテインメントでも『プレイステーション クラシック』を2018年12月3日に発売した。 『メガドライブミニ(仮称)』も、このレトロゲーム復刻ブームに乗ったものだと言える。同機は元々は2018年に発売予定だったが2019年に延期された(メガドライブミニ(仮)発売が2018年から2019年に延期。「オリジナルメンバーを中心に設計を見直し」)。  当時、ゲーム少年だった筆者も、こうしたブームにあやかりたいと思い、レトロゲーム移植会社を舞台にした小説『レトロゲームファクトリー』を2018年に上梓した。そのため、この流れはよく記憶している。
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確かに存在した「メガドライブの時代」
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