プロパガンダの天才と言われる、ヒトラーのナチス党に所属していた、パウル・ヨーゼフ・ゲッベルスの言葉に、こういうものがある。
『宣伝したい内容を直接キャッチフレーズ化して強調・連呼せず、心のなかで思っているであろう不満・疑問・欲望を遠まわしに刺激し暴発させる』
内発的説得は相手に気づきを与えると同時に、その気づきが不満・疑問・欲望・不安であれば、なお説得の効果は高まる。
プライベートの例で言うと、友達に「今日暇?」と言われて、「暇だよ」と返してしまうと、誘われたイベント内容がつまらなくても、一度暇だと言ってしまった以上、断りづらくなってしまうのと同じだ。先に「◯◯というイベントがあるんだけど、来ない?」と言われていれば、「俺は興味ないかな」と、断りやすいはずだ。
この内発的説得は、ネットワークビジネスの勧誘や保険の営業で使われるのをよく聞く。もし、「自分の意思に反して」説得されそうならば、注意していただきたい。
ロバート・チャルディーニ氏の著書『影響力の武器』にマーケティングや戦争時において、この法則がどのように使われていたか載っているので、興味がある方はそちらを参照していただきたい。私もセミナーのときには、必ず参加者にオススメする一冊だ。
この内発的説得は、説得のシナリオや、相手の心理状態、相手の環境などを十分に考慮して組み立てる必要があるので準備に時間がかかるが、大事なプレゼンのときにはぜひ活用していただき、案件の受注につなげていただきたい。
【参考資料】
『影響力の武器』ロバート・B・チャルディーニ
『“説得”コミュニケーションの研究』
【山本マサヤ】
心理戦略コンサルタント。MENSA会員。心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ためのコンサルティングやセミナーを各所で開催。これまで数百人に対して仕事やプライベートで使える心理学のテクニックについてレクチャーしてきた。また、メンタリズムという心理学とマジックを融合した心理誘導や読心術のエンターテインメントショーも行う。クラウドワークスの「トップランナー100人」、Amebaが認定する芸能人・著名インフルエンサー100人に選出。
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