流ちょう過ぎる話術はなぜ心に残らないのか?

山口博
 コミュニケーションスキルを高める演習の参加者に、演習でどのようになりたいかを聞くと、相当程度の人が「流暢に話せるようになりたい」という意味のことを言う。スラスラとよどみなく、話しができたり、プレゼンテーションができたりするようになりたいというわけだ。

流ちょうに話すと聞き手の関心度は低下する

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 しかし、実は流ちょうに話せば話すほど、スラスラと話せば話すほど、聞き手は集中度、関心度を低下させてしまう。このように申し上げると、「逆ではないか」「話に詰まったり、言葉が出なかったりするから、聞いてくれなくなるのではないか」という反応が返ってくる。  実際に話し手と聞き手の状況を観察してみると、話し手が流ちょうにスラスラと話すということは、間(ま)をおかずに話しているという状態だ。間をおかないので、聞き手の理解速度に差があったとしても、多かれ少なかれ、聞き手はそのうち話についていけなくなる。  話についていけなくなるということは、理解ができなくなる。それが続くと、諦めの感覚が生じて、関心度が低下してしまうのだ。

大切なのは聞き手が「反芻」する時間

 逆に、話し手が話に詰まったり、言葉が出なかったりするという状態は、話していない時間帯が生じて、そこに間ができる。間ができている間に、聞き手は、「これまで、こういう話だったな」「次は何を話そうとしているのだろう」というように、話し手の内容を反芻できる時間を持つことができる。  話し手の内容を理解したり、次の話を想起したりしている間に、自然と話し手の話に関心を高めたり、集中度が高まるのだ。  もちろん、すべての聞き手が、間ができるたびに、関心度、集中度を高めているわけではない。しかし、演習や企業でのサポートでの実例をふまえると、間ができたときには、関心度、集中度を低下させる人よりも、逆に高める人が圧倒的に多い。    それは、流ちょうなよどみない話と、詰まったり言葉が出なくなったりすることのある話とでは、流ちょうな話のほうが眠くなる確率が高いということからも言える。
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適度な会話の間が理解度を高めてくれる
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