「地下鉄サリン事件から24年の集い」で語られた警察とメディアの問題

「風化という意味がわからない」

オウム関連事件被害者遺族

地下鉄サリン事件で夫をなくした高橋シズヱ氏と、同じく1995年に起こった目黒公証人役場事務長逮捕監禁致死事件の被害者遺族・假谷実氏

 後半の「被害者の権利獲得から死刑まで」は、地下鉄サリン事件で夫をなくした高橋シズヱ氏と、同じく1995年に起こった目黒公証人役場事務長逮捕監禁致死事件の被害者遺族・假谷実氏との対談だ。司会はオウム真理教被害対策弁護団の伊藤芳朗弁護士。  この対談については、ジャーナリストの江川紹子氏が詳しく伝えている(参照:江川紹子氏のYahoo個人)。  高橋氏は地下鉄サリン事件被害者の会の代表として、假谷氏は「全国犯罪被害者の会(あすの会)」設立メンバーとして、被害者への補償や裁判での被害者参加制度等の実現に取り組んできた。 「まさに検察官の対応が全然違った。我々被害者が権利を勝ち得たことによって、いまの状況が実現したのかと思います」(假谷氏) 「犯罪被害者等基本法というのは、被害者の要望からできたんですよね。私たちがいろんなこと言っていって、それの要望を1つひとつ検討してもらって、そこから刑事裁判であるとか国民の理解を得るとか、それによっていろんな項目が成り立っていった。まさに私たちの要望そのものを聞いてもらえた」(高橋氏) 「まさに被害者の声が届いた。我々だけではなくもっと多くの日本全国の被害者の声が届けられたのかなと」(假谷氏)

配布資料から伝わる「重み」

 今回の集会には、大学生の姿が多く見られた。ジャーナリズムやドキュメンタリーに関心を持つ学生たちだ。 「学生さんたちに一言言いたいと思うのは、今の制度がこうだからといってそれに順応するのではなくて、今の感覚で『これはおかしいんじゃないか』と思うことがあったときには、それを口に出して対策を考えてみる、というのも大事なんじゃないかなと思います」(高橋氏)  来場者に配布された資料を見ると、2人の言葉は、いっそう重みを増す。全32ページ。そのうち、「被害者の会・24年間のできごと」というタイトルの年表が9ページにもわたって掲載されている。被害者の権利実現までの、ひとつひとつの行動を積み重ねた記録だ。  被害者や遺族たちは「おかしいと思うことがあったら口に出す」だけではなく、実現するまで口に出し続けてきた。そして、それはまだ終わっていない。 「当事者ですから、風化ということの意味がわからない。死刑はすごく大きな出来事で、オウム事件では最終的な出来事になるのかもしれないですが、私たちからすれば最終的なものではない。被害者にしてみれば、(事件は)現在進行形というのがいまだに続いているわけです。(平成)20年にアンケート調査を専門家にやってもらいましたけど、特にPTSDの(被害者)遺族の罹患率がものすごく高かったという結果が出ました。私もしょっちゅう笑ってますけど、だからよくなったと思われるかもしれるかもしれないですけど、そうではないというのがあって、風化という言葉にはものすごく違和感があります」(高橋氏)  風化などしていない。それは決して被害者や遺族の「感情」ではなく、歴然たる事実だ。  配布資料の年表には、死刑が執行された昨年7月以降も記者会見、シンポジウム、関係方面との意見交換会、賠償をめぐるアレフとの訴訟、観察処分をめぐるひかりの輪と国の訴訟など、関連の活動や出来事が山のように記載されている。風化を感じさせる気配などない。  来年も3月14日、今年と同じく連合会館で同様の集会が開かれる。 <取材・文・写真/藤倉善郎(やや日刊カルト新聞総裁)・Twitter ID:@daily_cult3 取材協力/鈴木エイト Twitter ID:@cult_and_fraud> ふじくらよしろう●1974年、東京生まれ。北海道大学文学部中退。在学中から「北海道大学新聞会」で自己啓発セミナーを取材し、中退後、東京でフリーライターとしてカルト問題のほか、チベット問題やチェルノブイリ・福島第一両原発事故の現場を取材。ライター活動と並行して2009年からニュースサイト「やや日刊カルト新聞」(記者9名)を開設し、主筆として活動。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)
ふじくらよしろう●やや日刊カルト新聞総裁兼被告人 Twitter ID:@daily_cult3。1974年、東京生まれ。北海道大学文学部中退。在学中から「北海道大学新聞会」で自己啓発セミナーを取材し、中退後、東京でフリーライターとしてカルト問題のほか、チベット問題やチェルノブイリ・福島第一両原発事故の現場を取材。ライター活動と並行して2009年からニュースサイト「やや日刊カルト新聞」(記者9名)を開設し、主筆として活動。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)
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