台湾美人棋士・黒嘉嘉、日本の天才少女棋士・仲邑菫と囲碁直接対決(2)
前回に続き報じる。
約十分間の対局開始後撮影が終わった後、報道陣は一階待合室に移動することになった。
たとえば将棋の名人戦や竜王戦のような大一番の場合、写真撮影用に何度か棋士が初手を指し直す風習みたいなものがある。
将棋の初手は、九分九厘飛車先の歩を前に出す「2六歩」か角道をあける「7六歩」のどちらかに決まっているが、それを棋士がカメラマン一同のために何度か繰り返すわけだ。
この記念対局の場合、持ち時間そのものが十分と非常に短いため、「撮影用打ち直し」はなかった。何手かお互いが打つのを適当に撮影してください、というやり方だった。
筆者の囲碁の実力はというと、以前この媒体にご登場いただいた張栩名人が開発した「囲碁パズル」の八問目か九問目でつまるレベルである。つまり無に等しい。したがって、対局における打ち手がどうこうという論評はできないし、する気もない。仮にアマ二段程度だったとしても、それでプロの打ち手に口を出すほど筆者は身の程知らずではない。
さて対局終了までどうするかな…と考えていると、一人東南アジア系でスマホを見ながら戦況を追う男性がいる。「ジミー」と名乗るこの男は、マレーシアで囲碁のインストラクターを務めているという。
「この後は、シンガポール代表のアマ選手と夕食に行くことになっているんだ」
この週末に予定されていた「SENKO CUPワールド碁女流最強戦2019」においては、プロの対局に日本から四人、それから韓国・中国・台湾・欧州(今回はロシア)から一人ずつの四人の八人で争うことになっており、同時に開催される「世界アマ女流選抜戦」にはタイ・シンガポール・マレーシア・ベトナムから一人ずつ出場することになっていた。
おそらく、彼が言っているのはそのシンガポール代表のことだろう。
スマホを見せてもらうと、まさに七階で行われている対局の盤面が表示されている。上のほうにはAIの戦況判断がついている。対局のうち三分の二くらいはほぼ互角だったが、ある瞬間から明らかに白、つまり黒嘉嘉に形勢が傾き、勝てる確率がほぼ100%となった。
現実問題として、黒嘉嘉は世界有数の女流トップ囲碁棋士であり、仲邑菫はいかに天才少女で、囲碁最先進国の韓国で修行しているとはいえ「奨励会」を卒業していない存在である。これで先手以上のハンディなしで勝てたとすれば大金星である。したがって、素人目にもこの結果は予想がついた。
弱冠9歳の天才少女棋士・仲邑菫と、台湾の黒嘉嘉の対局の様子を、スマホに表示されたAIによる戦況判断
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