更に、もう一人の弁護士ニコール・ラモスの場合は彼女のパスポートには調べてもらうと「X」の印はないそうであるが、NBCの調査の結果、彼女の車、彼女の母親の名前、これまでの経歴などの詳細がデーターベースに記録されているというのが判明したという。
前述した2人のカメラマンの場合は、先ずキトゥラ・キャハナはフリーランスの女性カメラマンでニューヨーク・タイムズ紙やナショナル・ジオグラフィック誌に彼女の作品を提供している、が、1月に矢張りグアダラハラ空港から入国できなかったそうだ。彼女のパスポートに同じく警戒を要する人物としての印が米国で入れられていることを同空港の入国管理局員が明らかにしたそうだ。
もうひとりのダニエル・オチョアはスペイン人のカメラマンで、AP通信で仕事をしてキャラバンに同行していた。1月20日に米国側のサン・イシドゥロからティフアナに入ろうとしたが、4時間拘束されたうえに入国を拒否されたそうだ。
サンディエゴの活動家ウーゴ・カストロの場合はメキシコとの国境を成すカレクシコの入国管理国でキャラバンに加わる理由、どこから資金を調達するのか、国境を通過する際にキャラバンの移民にいくらのお金を渡すのかといった質問を浴びせられたそうだ。それを米国のスペイン語放送ウニビシオン・ノティシアス(Univisión Noticias)で明らかにした。
NBC7がこの機密を明らかにした以後、税関・国境取締局はデーターベースに記載された人たちはティフアナでキャラバンの移民が到着してから地元市民らとの紛争などに関わった時にそこに居合わせたジャーナリストらで、彼らがその紛争にどこまで関与したか調査するものであったと税関・国境取締局は明らかにしたという。しかし、警戒を要する人物だとして彼らのパスポートに密かに印をつけるのは人権侵害で異常な事態であろう。(参照:「
El Pais」、「
Univision」)
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身