先日、そのような話のつまらない建築士の男性(45歳)とのデートが、あまりに面白くないのでネタが尽きてしまい、ネタになるスポットへ行こうと考えまして、「バブルっぽい場所に行きたい」とリクエストしました。豪華な設備や夜景などをテーマパーク気分で楽しめれば、顧客とのつまらない会話も乗り切れると考えたからです。
案内されたのは、ホテルニューオータニの夜景が見えるレストランでした。ニューオータニは、東京オリンピックが開かれた1964年に開業し、豪華な日本庭園を備えた昔ながらのホテル。かつては夜景の見えるフロアがまるごと回転するという、趣味の悪い遊園地のような作りになっていたそうです。
現在は回転をやめているそのフロアで、ディナービュッフェをごちそうになりました。45歳の彼は、ドリンクメニューのワインに
「デカンタが4500円もするのか、高いね」とケチをつけたのが印象的でした。デートや遊びにもコスパを重視するのだそうです。4500円のワインが高いなら、無料の水を飲めばいいと思いますが、準富裕層は変なところで見栄を張るのです。
私はその4500円のワインを飲みながら接待したのですが、建築士の彼はこちらが話をふっても、一切ふくらませることができません。まだ2回目の
顧客訪問(デート)なので、私を警戒しているのか、会社名や居住地などの個人情報をひた隠しにするのも難儀でした。
仕事内容を聞いても漠然とした答えしか返ってこないので、話題が広がらないのです。かといって、私の仕事に興味がある風でもないので、話題が「天気」「子育て」くらいしかありません。彼は一級建築士でマンション収入もあると言っていたので、年収1000万くらいだと思いますが、ここまで話がつまらないのは衝撃でした。こんなに話のつまらない男性が、よく結婚できたなぁと感心したほどです。
既婚者の小金持ちは一般的に、女性への警戒心が強い傾向にあります。本物の富裕層は、初対面のギャラ飲みでも意外と簡単に名刺をくれるものですが、小金持ち、特に既婚者は「夜遊びがバレたらどうしよう」と、不安になるのでしょう。
富裕層が、肩書を鼻にかけることもなく、かといってひた隠しにすることもなくナチュラルに身元を明かすのに対し、こういう小金持ちの男性の警戒心はリスが怯えているようで、見ていられません。彼のような年収1000万クラスのサラリーマンも、これまでは愛人ポートフォリオに組み込んでおりましたが、どうせなら話が面白い方の愛人になりたいものです。彼とのお付き合いは辞退しようと思います。
<文・東條才子>