「メダルレスパチスロ」は本当に普及するか? パチンコ業界が考える次世代遊技機の正体
前回記事で、パチンコ業界が導入を計画している、管理遊技機とメダルレス遊技機がいかにしてギャンブル等依存症対策になるのかという点について書いた。本稿では、これらの遊技機が本当に、日本全国のパチンコホールに普及するのかという点について取り上げる。
管理遊技機(パチンコ)、メダルレス遊技機(パチスロ)の普及を計画している、日本遊技機工業組合(日工組)と、日本電動式遊技機工業協同組合(日電協)の担当者によれば、同遊技機の本格的な導入は2020年を想定しているという。
これは、平成30年2月に改正された遊技機規則等により、もともと設置されていた所謂「旧基準機」が完全に撤去される2021年1月を想定しているものと考えられる。
そもそもパチンコ業界は、国のギャンブル等依存症対策の一環として、遊技機の射幸性を抑制した規則改正により、その当時ホールに設置されていた遊技機を、3年間掛けてすべて撤去しなくてはいけない。
パチンコであれパチスロであれ、今、メーカーから販売される遊技機は、すべて新しいルールにそった「新基準機」であり、現状においてもホールは徐々に入替を進めているところなのだ。
確かに管理遊技機やメダルレス遊技機は、次世代遊技機としてある程度のメリット性を持っているものの、果たしてそれを、パチンコホールが積極的に導入するかと言えば疑問符が残る。
その最大の理由は、導入費用である。
現時点では、管理遊技機とメダルレス遊技機の導入価格は提示されていないが、同遊技機は遊技機本体とは別に、ユニットの交換も必要となり、現行の遊技機よりも高くなるのではと言われている。まして、ただ遊技機を入れ替えるだけではない。島全体の設備変更が必要となる。それだけの大きな設備投資を、年々業績が苦しくなる業界が、積極的に導入するとは考えにくい。
さらには、遊技機規則等の改正により、全国のパチンコホールは2021年1月までに、すべての旧基準機をホールから撤去せねばならず、それだけでも多くの投資が必要となるのだ。ホール経営者にとっては、次世代遊技機よりも、今から約2年の間に、どうやって遊技機を入れ替えていくのか、どのように資金配分していくのかで手一杯な状況なのである。
業界団体は2020年の普及を目指すが……
ネックは導入のコスト
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