ニューヨーク州では16年に最低賃金15ドルを決めた後、州内の地区ごとに段階的な賃金引上げが行われた。市内では従業員11人以上の企業は16年12月31日までに11ドル、17年12月31日までに13ドル、18年12月31日までに最終目標の15ドルを適用。従業員10人以下の小規模企業は1年ごとに4段階に分けて引上げ、最終目標の15ドル適用は
19年12月31日だ。
州内でも都市部から離れた人口の少ない地区では1年ごとに6段階に分けて引き上げるケースもあり、段階的で緩やかな引上げによって小規模企業や個人商店も適応できるよう配慮している。すでに15ドルが適用された市内では物価上昇が起こり、同市のサービス業組合の調査によると、飲食店300のうち47%が今年中に従業員を減らす考えを示しているという報告もあるが、シアトル市のように数年を経て全体的にプラス効果が大きくなるかどうか、今後注視されていくだろう。
最低賃金15ドルへの引上げは痛みを伴う改革かもしれないが、それでも米国ではこの流れが減速することはもはや考えられない。2020年の大統領選に民主党候補として再出馬することを表明したバーニー・サンダース氏も自身のツイッターで「我々は、全米の州や市が行っている最低賃金引上げの流れを受け、国が定める最低賃金(現在は7ドル25セント)も時給15ドルに引き上げ、それによって平均賃金を上昇させなければならない。そうすれば40万人以上いる最低賃金労働者、つまり米国の25%以上の労働者の賃上げが実現する」と明確な意志を示している。
<取材・文/水次祥子 Twitter ID:
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みずつぎしょうこ●ニューヨーク大学でジャーナリズムを学び、現在もニューヨークを拠点に取材執筆活動を行う。主な著書に『
格下婚のススメ』(CCCメディアハウス)、『
シンデレラは40歳。~アラフォー世代の結婚の選択~』(扶桑社文庫)、『
野茂、イチローはメジャーで何を見たか』(アドレナライズ)など。(「
水次祥子official site」)