難工事で長期化・費用増が指摘される辺野古基地建設。菅官房長官の「一般的な工法でできる」発言は本当か?
沖縄県民投票の投開票翌日の2月25日の会見での、菅義偉官房長官の発言に注目が集まっている。辺野古基地建設が前例のない難工事(水面下90メートルでの軟弱地盤改良工事)であるという指摘に対して、まるで簡単な工事であるかのような印象を与える説明をしたのだ。
この日の会見では、県民投票関連の質問が集中した。まず『朝日新聞』記者が「反対」が7割を超えたことについて「今回、新たな民意が示されたことになる。こういった沖縄県の民意を無視する形で辺野古移設工事を進めていく考えに変わりはないのか」と聞いた。
菅官房長官はこれに対して「普天間飛行場の危険除去と返還が原点であり、このまま普天間飛行場が固定化されて危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければならない」と強調。返還の利点などを詳しく説明した後、「皆様の理解を得る努力を粘り強くしながら(工事を)進めていきたい」と答えた。
続いて『毎日新聞』をはじめ各媒体の記者がさまざまな角度から県民投票について質問したが、菅官房長官は「普天間飛行場の危険除去と固定化回避」を繰り返した。
これに対して「新基地予定地に見つかった軟弱地盤」について指摘したのが『沖縄タイムス』の記者だ。政府も菅官房長官も工期の長期化を認めていると指摘したうえで、「(辺野古移設が)『普天間飛行場の早期返還の唯一の解決策』という考えに変わりはないのか」と質問した。
菅官房長官は「変わりはありません。軟弱地盤についての工法も『通常、使われる工法でできる』という報告を受けています。『一般的で施行実績が豊富な工法で、地盤改良を行うことは可能』ということです」と答えた。
『辺野古に基地はつくれない』の共著者で元土木技術者の北上田毅氏は、辺野古基地建設のために必要となる、前例のない大規模な地盤改良工事について次のように説明した。
「(防衛省の)追加のボーリング調査で海面から90メートルまで軟弱地盤が続いていることが明らかになり、海面下90メートルまで地盤改良工事をする必要があります。しかし、いま日本には、海面下70メートルまでの工事をする作業船が2隻あるだけ。無尽蔵に工費と工期をかけて、新しく海面下90メートルまで地盤改良工事ができる新型作業船を開発するにしても、莫大な金額がかかります。
また、(新基地予定地北東側の)大浦湾の埋立面積115ヘクタールの6割に当たる65ヘクタールは、ヘドロのような軟弱地盤です。そこに『サンドコンパイル工法』という工法で、7万本もの砂杭を打ち込んで地盤改良をしていく。それによって汚泥が大浦一帯に広がり、大変深刻な環境破壊を引き起こしてしまうでしょう」(北上田氏)
「辺野古基地建設は難工事」の指摘に、菅官房長官は「通常使われる工法でできる」
海面下90メートルの工事ができる作業船は、今の日本にはない
1
2
ハッシュタグ