今季で廃部のアイスホッケー日本製紙クレインズ、プレーオフで快進撃。クラブチーム化で存続を模索

道東の中心都市・釧路市にとっては重要な分岐点

日本製紙アイスアリーナ

連日の激戦が行われた日本製紙アイスアリーナ(釧路市)

 釧路の街は道内有数の繁華街をかかえ、夜のネオンは健在だ。しかし、ところどころ閉じられたままのシャッターも目立つ。2018年2月の釧路市の人口は17万2214人で、17万2236人の苫小牧市に抜かれ、道内4位の座を譲ることになってしまった。  釧路からホッケーチームがなくなるとなれば、ますます人口流出は止まらないだろう。来季のアジアリーグに参加するには4月末までに申請が必要になる。釧路市にとっては重要な分岐点に差し掛かっている。  若くして亡くなった映画監督、相米慎二さんの問題作の1つに『風花』(2000年)がある。  北海道を舞台に浅野忠信さんと小泉今日子さんが主演し、女優「小泉今日子」としての注目を浴びるようになったロードムービーだ。そのなかで、酔っぱらったエリート官僚役の浅野忠信さんが北海道の居酒屋で「120年かかって、なに残したってんだよ」と北海道をあざけるように笑い、現地の漁師にボコられるというシーンがある。  このシーンがあるために北海道では問題作扱いとなっているのだが、相米監督は岩手県出身で、新年度100周年を迎える釧路江南高校の出身だ。中学・高校時代は釧路で過ごしていて、単なるふざけたセリフではないのだ。筆者には、北海道をご都合主義的な政策に使う中央政府(霞が関)の身勝手さを、エリート官僚役の浅野さんがなじる叫びに聞こえた。  20年後の現在、アイスホッケーチームさえ釧路からなくなったとしたら、「140年かかって、なに残したってんだよ」と草葉の陰から相米監督に言われてしまうのではないだろうか。 <文/松井克明(八戸学院大学講師、地方財政論)>
八戸学院大学地域経営学部講師。行政書士・1級FP技能士/CFP。Twitter IDは@katsu84
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