スペイン・バレンシア初のミシュラン一つ星レストラン、食中毒でお客が死亡の波紋

レストランRiff

レストランRiffのWebサイト。同店のFacebookページには生ウニを使った料理の写真や日本酒の写真もあり、新鮮な魚介類を活かした料理が売りだったようだ

 スペイン・バレンシア市内にミシュラン・ガイドにリストアップされているレストランは3軒ある。その内の1軒で食事した女性が食中毒で死亡するという事件が2月17日に起きた。  事件が起きたのはバレンシア市内でレストランが通りの左右に立ち並ぶコンデ・デ・アルテア通りに所在するバレンシアで高い評価を得ているレストラン「Riff(リフ)」である。  バレンシアの地方紙「Levante」によれば、13日から16日にかけてリフで食事をした80人のお客を対象に調査した結果、食中毒の被害を受けた人は21日までに30人に達していることが明らかになっている。  更に今回の事件がより注目されているのは、同レストランがバレンシア市内で一番最初にミシュラン・ガイドにリストアップされたレストランであるということからである。それは2009年のことで、1つ星を獲得している。

原因は調査中ながらキノコ説が濃厚

 女性が死亡するという事件が起きたのは次のような経過からであった。夫の44歳の誕生祝いをする為に夫人と子供の3人家族が、16日土曜にRiffで昼食を取ったのである。そこで選んだメニューは7皿に分けて異なった料理が愉しめて、しかもデザートも3皿。また出る料理にマッチしたワインがついてくるというコースで、一人当たりの料金は130ユーロ(17000円)だった。  彼らは食事をして40-50分経過してから3人とも気分が悪くなり下痢と嘔吐を繰り返すようになったという。その翌日には夫と子供は回復の兆しを見せたが、夫人はその後も激しく嘔吐を繰り返して自宅で死亡した。  この事件が発覚してからバレンシア市の衛生管理局で調査が進めら、と同時にマドリードの毒物研究所にも使われた料理など解明に必要なサンプルを送っているという。(参照:「El Mundo」、「Levente」)  現在、この食中毒の原因の一つとしてもっとも有力なものとして推断されているのは、そのコースの料理に「アミガサタケ」というキノコの一種が加えられていたライス料理である。

アミガサタケ astanley64/pixabay

 アミガサタケは高級キノコとして有名であるが毒成分を含んでいるため、料理に使う前に十分に乾燥させたあと、水で戻してその傘の中も綺麗にして焼いたり煮たりして加熱する必要があるのだ。(参照:「El Espanol」)  ただ、アミガサダケ自体の毒性はそこまで強いものではない。キノコの専門家の間ではそれを仕入れるのに常に信頼のおける業者からの購入が必須だとは言うものの、当初は、バレンシア市内のキロン・サルード(Quilon Salud)病院の内科医ヘスス・レシオ医師も、「危険度がゼロということはない」とした上で、「99.9%は胃腸の炎症という段階を越えることはない」と取材に応えていた。(参照:「El Mundo」)  また、調査が進むにつれて、そのコースにはサケの卵料理もあり、シガテラ毒を含んでいた可能性も疑われているという報道があり、これも食中毒の要因になるとして解明を急いでいるという。(参照:「Levente」)。(編集部注:イクラ摂取でシガテラ中毒になった事例は日本では確認されていない。イクラによる食中毒としてはアニサキスのほうが知られているが、熱にも強いシガテラと違い、アニサキスは60度以上1分の加熱で死滅するため可能性は低いと思われる)  いずれにしても、詳しい原因は夫人の死因を解剖しての結果待ちである。嘔吐を繰り返している間に窒息死したのではないかという憶測もされている。
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バレンシア初のミシュラン星獲得レストランだったが……
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