誰かの成功例はそのまま真似してもダメ。上手に取り入れるために必要な「力」とは?
働き方改革が進むなか、一人ひとりのビジネスパーソンが、組織のなかでいかに働きがいをもっていくかに関心が高まっている。今回は、44万人の社員を擁する日本郵政グループで、働き方改革ならびに組織風土改革に取り組む伊藤伸也氏に、本連載「分解スキル反復演習が人生を変える」でお馴染みの山口博氏が迫る。
山口 博氏(以下、山口):お会いするたびに思うのですが、伊藤さんはいつも生き生きと、はつらつとしていらっしゃるように見えます。まさに働きがいを感じているようにお見受けするのですが、どのようにご自分のモチベーションをコントロールしていらっしゃるのですか。
伊藤伸也氏(以下、伊藤):仕事は誰にとっても大変ですから、常に楽しいという気持ちを持ちながら働く。当たり前ですが、楽(たの)しいと楽(らく)は同じ字でも、まったく意味の異なる言葉です。刺激的で、冒険心に富んだ、ワクワクする気持ちがとても大事だと思います。ワクワク感というのは、何かにチャレンジしているときにしか生まれません。
仕事は辛いし苦しいしものなので、楽しいと感じないと長続きはしないものです。
山口:誰しも安きに流れて、楽をしてしまおうという気持ちになりがちですが、仕事で楽しいと感じるようになるために、どのように気持ちを切り替えているのですか。
伊藤:組織のなかで流されていると、自分を見失いおもしろくなくなるものです。自分にできることはないか、何か変えられることはできないか、と考え、主体的に行動を起こすようにしています。変化のスピードが対応能力を超え、ドラスティックな時代です。失敗を恐れず勇気を持って変化を求めていくようにしています。
山口:そのように考えるようになったのは、何かきっかけのようなものがあったのですか。
伊藤:最初にマインドセットしたのは20代後半で、秘書の仕事をすることになったんです。そのとき、たくさんのお客さまとの出会いのなかで、どうせやるんだったら、普通に終わらせるのではなく、相手にとことん喜んでもらおうと思いました。
造語ですが「親しき仲にも演技あり」という言葉が好きです。「親しき仲にも礼儀あり」ということわざがありますが、礼儀という型にはめられた行動をとるというのではなく、自分なりの工夫や心配りをする、いわば演技をして相手に最高のサービスを提供するという考え方です。
演技というと、心にもないことをすると誤解されがちですが、ここでは、どんな親しい相手でも大切にして一生懸命尽くすということです。
山口:自分の行動の価値基準が自分の外面にあるのではなく、自分の内面にあるべきという考え方とつながりますね。自分の内なる声に従って生きることで、自己実現してくのですね。
相手をもてなす「親しき仲にも演技あり」
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