65歳以下は損をする。「医療費世代間格差」の実態
現在、日本の社会保障費は約120兆円。内閣府の推計によれば2040年度には約1.5倍の190兆円に膨らむ。特に医療費は票田でもある高齢者に忖度して制度改革は一向に進まない。現状を追った
「平成の、その先の時代に向かって、日本の明日を切り拓く。皆さん、共に、その責任を果たしていこうではありませんか」
安倍晋三首相は1月22日、施政方針演説で「全世代型社会保障」をぶち上げた。だが、現状の社会保障、特に医療・介護分野では世代間の不公平は明らか。高齢者世代の「低負担」を支える現役世代、将来世代がリタイアする頃に十分な給付がある保証はどこにもない。
2010年代初めから「世代間格差」を訴え、問題先送りを批判してきた元大蔵官僚の小黒一正・法政大学経済学部教授に聞いた。
「税や保険料などで賄う社会保障給付費(医療や介護・年金など)は現在約120兆円。ですが、内閣府などの推計によると、’40年度には1・5倍の約190兆円に増加します」
対国内総生産(GDP)比は’18年度で21.5%だが、’40年度には約24%に上昇。現在のGDPは約550兆円。この2.5ポイントの上昇は約14兆円に当たる。消費税換算で6%弱に相当する額だ。
「増税しなければ、税・社会保険料収入のGDP比はほぼ一定だと仮定します。この際、消費税10%となっても、社会保障改革が進まず、消費税の増税のみで財政再建を行うとすると、どうなるか。現在の財政赤字(約20兆円、消費税8%分)も含め、軽減税率を導入しないケースでも、’40年度には消費税を24%まで引き上げなければなりません」(小黒氏。以下同)
10%どころではない衝撃だ。
医療費問題に待ったなし。’40年度に消費税は24%に!?
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