中国大連勾留所の厳しい現実。緩くなった法解釈が30年前に回帰なのか

「30年前の厳しい状況に戻っただけ」?

 面会時間となると奥から番号付きの作業服を着た人たちがぞろぞろと姿を見せた。  拘束されて1週間ちょっとだったが明らかに痩せた面会者を見て、同行した中国人女性は泣き崩れてしまった。  他に並ぶ中国人には、薬物中毒の後遺症か明らかに挙動不審な男も複数混ざっており、ここでの環境の厳しさを感じ背筋が凍る思いをした。  面会時間が終わり持参した差し入れを渡していいか看守へ見せると、中味の確認もせずに拒否。主に小説など書籍や衣類だったが、中の売店で使うための現金だけ認められて、本と衣類は改めて拒否された。態度は高圧的で上から目線、まるでスタンフォード大学での有名な心理学の実験「囚人と看守」そのままだった。  それでも諦めず、面会前に優しそうな口調で話してくれた看守を探し出し頼むと本の差し入れを許可してくれた。  習近平政権前までは、不法労働で拘束されても罰金のみで即釈放というケースも珍しくなかったが、現在では、法律上の勾留期限である15日間きっちり拘束されて、強制送還されるケースが増えている。  これだけ見ると、習近平政権になって刑罰が厳しくなったと思われるが、天安門事件のころ北京へ駐在していた男性は、「2000年代が緩すぎただけで、元々決められた法律通りに戻っただけの30年前の厳しい状態へ回帰しただけでは?」と話す。  果たして今後の中国社会はどうなっていくのだろうか?  <取材・文・撮影/我妻伊都(Twitter ID:@Ito_Wagatsuma)>
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