こうした「eコマース市場(電子商取引)」の急速な普及は「LAZADA」以外でも進んでおり、大手スーパーマーケットもネット通販のサイトが用意されているほか、特に大きな都市を中心に「food panda」や、コミュニケーションアプリ「LINE」のひとつである「LINE MAN」を介してレストランだけでなく屋台のデリバリーまで利用できるほど便利になった。
さらに、タイのeコマース市場の普及は「LAZADA」などの大手だけでなく、個人事業主や、地方都市の小さな商店にも大きなメリットをもたらしている。タイは「OTOP(オートップ)」という一村一品運動のようなものが推進され、地方の小さな村が物産展などに出品して現金収入のチャンスを得てきた。しかし、これでは限られた場所に訪れてくれた人にしか売ることができなかったし、様々な問題から販売に参加できない村もあった。
しかし、スマートフォンが普及してSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の利用率が上がったことで状況が変わった。特にタイでは世界的に人気の「Facebook」の利用率が日本よりも高いとされ、飲食店などは自社のウェブサイトをこのSNSのページで置き換えていることも多い。地方の個人商店もこういったものを利用して、タイ全土に製品が売れるようになったのだ。
Facebook上でネット通販しているタマリンドの天然石けん
ただ、問題もあった。というのも、タイはクレジットカードが普及していなかったこともあって、ECサイト(簡単に言えばネットショップ)は支払いを払う側・受ける側の双方にデメリットがあった。かと言ってなにもしないわけにはいかない個人商店は銀行口座番号をSNSに掲載し銀行のATMから支払わせ、ATMのスリップを画像で送信させるようになった。
タイはシステム上、誰が送金したかが確認できないためだ。それを受けると商店は商品を発送するという、アナログ的なサービスを行っているのだ。