それにしても問題と言えるのは「連帯保証人制度」だ。
我々は職業柄、この制度に救われているものの存在は知らないが、この制度で生活を破綻させていくものの存在は多く知っている。
諸外国を見ても制度としての「連帯保証人制度」導入は多くあるが、借金自体との関係性が乏しい保証人に対し、全額返済の義務や保証人の生活を崩壊させるほどの取り立てを許している国は少なく、先進国というカテゴリで言えば他に類を見ない。
日本の「連帯保証人制度」は言ってみれば、問題があることを承知の上で奈良時代から惰性のように続く「連帯責任制度」の名残、現行法と考えても明治時代から約120年間も放置されてきた民法。
これまでにも「連帯保証人制度」廃止の動きや、改正の流れはあったが、ことごとく潰されている。
これは融資側に審査能力がないことを意味しており、同時に融資側に審査や調査の能力を必要とさせて来なかった存在でもある。これ以上の放置を許容すべきものでもないのだろう。
この「天下の悪法」と呼ばれる「連帯保証人制度」改正に向けた動きはもちろん無いわけではなく、2017年には「民法の一部を改正する法律」が成立。これらが2020年度より施行されることになっている。
この改正により「連帯保証人制度」自体が廃止になるわけではないが、上限額が設けられる、保証人(個人)には公証人の意思確認が必要になる、保証人が破産した場合や主債務者又は保証人が死亡の場合、後に発生する主債務は保証の対象外になる、などの見直しが入る予定だ。
もちろんこれらがどこまで機能することになるのかは、施行後にならなければわからない――。
残念なことに差し押さえ・不動産執行の現場で出会う家庭の大半が既に崩壊している。
そうでない事例の多くは、この「連帯保証人制度」による経済破綻だ。実際にはその債務の責任が債務者に無いということを、本人も家族も認識しているためではないだろうか。
2020年の民法一部改正。この影響で責任なき債務者が大きく減ることを願いたい。
<文/ニポポ(from トンガリキッズ)>
2005年、トンガリキッズのメンバーとしてスーパーマリオブラザーズ楽曲をフィーチャーした「B-dash!」のスマッシュヒットで40万枚以上のセールスとプラチナディスクを受賞。また、北朝鮮やカルト教団施設などの潜入ルポ、昭和グッズ、珍品コレクションを披露するイベント、週刊誌やWeb媒体での執筆活動、動画配信でも精力的に活動中。
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