空き家投資の場合、投資額におけるリフォーム代金の割合が大きいため、利回りにも直結する。 「利回りは非常に重要な要素です。低すぎると投資家は修繕費などのリスクに耐えられなくなりますし、逆に高すぎると入居者やリフォーム業者にしわ寄せがいってしまう。私の経験上、関係者みんながWIN−WINになるのは、10～15％程度。また、初心者には現金での投資をオススメします。ローンを組んで不動産投資をしたい人もいると思いますが、入居者が決まらないと借金返済で現金が減っていくばかりで精神的な負担が大きくなってしまいます。ローンを組んでいるとうまくいかないことがあったときに打てる手段が限られてしまうので、リスクヘッジのためにも最初は現金を貯めて投資を始めるようにしましょう」 　また、空き家を購入することなく収益を得ている投資家もいる。30代のときにフリーターのような生活を送っていた村上祐章氏は、’07年に「借金なし、自己資金なし」で空き家に着目した不動産投資を始め、現在は月120万～160万円程度の家賃収入を安定して得ている。 「私がやっているのは、まずは不動産オーナーから空き家の使用許可を取り、自ら最低限の補修を施したうえで格安の家賃で入居者を募集するというものです。危険なところを直すのと掃除や片づけなど最低限のレベルですから、ほとんど費用はかかりません。あとは入居者を募集し、決まれば家賃収入をオーナーと折半しています。入居者が決まるまでは私が負担するコストはほとんどかかりませんのでリスクはほぼゼロですし、なかにはオーナーから私が1万1000円で借りて、そのまま6万5000円で貸している物件もあります」 　さらに村上氏の投資法は、近年ますます進化しているそうだ。 「『無料物件ゲット』と私が名づけている不動産投資法なのですが、その名のとおり、物件の所有権を0円でもらうというものです。固定資産税などの問題を抱える不動産のオーナーから、『0円でも引き取ってほしい』と相談されることがあり、そうした物件をリフォームして賃貸物件にすることで賃料収入を得ています。従来の方法とは違い、私の所有物件になるので賃料に加え、売却益も狙えるようになりました。20万円もらって引き取った神奈川県の人気エリアの土地が100万円で売れたこともあります」 　コストをかけずに家賃収入を手にし、しかも不動産オーナーの悩みも解消している村上氏。不動産投資を成功させる秘訣を聞いたところ、「地道な努力を積み重ねる以外にはない」と強調する。 「私のように空き家を対象にする不動産投資は、すぐに大儲けできるようなものではありません。でも、諦めずに1、2年続ければ自然と収入は増えていきますし、給料と同じくらいの定期収入は手に入ります。これから始められる人には、ぜひ忍耐強く続けていただきたいですね」 　不動産投資の成否を分けるのは潤沢な資金ではない。何よりも自分を信じ、着実に経験を積み重ねていくことにあるのだ。 【三木章裕氏】 収益不動産経営コンサルタント。’62年、大阪府生まれ。一般社団法人全国古家再生推進協議会顧問、大阪賃貸不動産経営研究所所長。著書に『空き家を買って、不動産投資で儲ける！』がある。一般社団法人全国古家再生推進協議会 【村上祐章氏】 廃墟不動産投資家。 ’77年、京都府生まれ。30歳のときに「空き家をなんとか活用できないか？」と思い、現在の投資スタイルを考案。著書に『常識破りの「空き家不動産」投資術』 取材・文／小林義崇 ― 空き家で儲ける！　不動産超入門 ―