続いて、子育て世代の女性就業率が7ポイント上昇し、新たに200万人の女性が就業したという話ですが、安倍晋三総理は「めでたい話」のように語っていますが、これは女性が社会に参加するようになったというポジティブな話の向こう側に、女性が社会に参加せざるを得なくなったというネガティブな話があることを忘れてはなりません。
例えば、働きながら子供を育てるのは大変です。日本の文化を考えれば、専業主婦になって子育てに専念するような人がいてもおかしくないのですが、税金が増え、非正規雇用が増え、労働者に賃金を回さないブラック企業が増えるというアベノミクスの3本の矢で、手取りが減り、女性が働いて家庭を支えなければならなくなっているとも言えるのです。
女性の年齢階級別就業率の変化及び推移(内閣府)
しかも、せっかく女性が働くようになっても、民間保育園の高額な利用料に給料のほとんどが消えてしまうようなことになっては、働く意味さえ失われます。上のグラフは内閣府男女共同参画局が出している「女性の年齢階級別就業率の変化及び推移」(出典:
内閣府)という資料ですが、これを見ると、例えば、今から33年前の1986年は30歳~34歳の女性の就職率が48.4%だったのに対し、20年間で59.7%に増加し、いよいよ2016年では70.3%にまで増えています。このグラフを見て、女性が社会に進出するようになったのが安倍晋三総理の手腕だったと言えるでしょうか。そしてもう一つ、女性が働かなければならないデータがあります。
50 歳時の未婚割合の推移と将来推計(内閣府資料)
それは、女性の未婚率が高くなっているデータです(出典:
内閣府)。女性に限らず、男性の未婚率も増えているのですが、未婚の女性たちは働かないわけにはいきません。1995年には20人に1人だった生涯独身の女性が、現時点で7人に1人の女性にまで増えているのです。こうした問題の本質に触れず、どうして女性たちが社会に進出しているのか。もちろん、能力が高くて社会でアクティブに活動しているキャリアウーマンもたくさんいらっしゃることでしょうが、こうした社会の歪みに触れず、実績だけを語る安倍晋三総理の言葉に「やっぱり安倍さんしかいない!」と言ってしまうのは、あまりに浅はかです。こんなもの無能であれば僕でさえ働く女性を増やせることになってしまうので、
こうした問題に微塵も触れず、良いところだけに光を当てるのは、極めて詐欺的な話だと言えましょう。
なんだか安倍晋三総理が「将軍様」に見えてきました。最近も複数のネトウヨから話を聞いたのですが、皆さんが声を揃えて言うのは「安倍さん以外に誰が総理大臣をできる人がいるか?」という話です。しかし、ここまでデタラメだらけで、いよいよ公文書が改竄されたり、正確なデータが取れなくなってしまうと、これから日本の未来はどんどん間違った判断をするようになってしまうので、そこらへんの正直者の中学生が総理大臣をやった方がはるかにマシということになります。
もはや「
安倍さん以外なら誰でもいい」というところまで来ているのです。
<取材・文・撮影/選挙ウォッチャーちだい(Twitter ID:
@chidaisan)>
ちだい●選挙ウォッチャーとして日本中の選挙を追いかけ、取材活動を行う。選挙ごとに「どんな選挙だったのか」を振り返るとともに、そこで得た選挙戦略のノウハウなどをTwitterやnote「
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