大手メディアに「世界日報」が何の説明もなく登場する危うさ
「政治的にみると、韓国の統一教会および世界日報は政権末期には朴槿恵前大統領時代の青瓦台(大統領府)とは敵対関係にあり、 その後の大統領選では文在寅の陣営に日本から帰化した同教団の信者と指摘される大学教授がブレーンとして関わるなど文在寅氏を支援しました。
一方、統一教会と言えば、安倍政権とも緊密な関係を築いています。日韓両政府どちらの味方をするわけにもいかないのです。そのどっちつかずの煮え切らない立ち位置が韓国世界日報での『拡大した韓日対立、感情な対応を自制すべき』との社説に表れています。このような背景を考慮せず、サンデーモーニングが世界日報の社説をそのまま紹介することは、問題があると言えます。ちなみに韓国世界日報とは姉妹紙の関係にある日本の世界日報でも、今回のレーダー照射問題について日韓両政権に阿り早期事態収拾と日韓の協力体制構築を説く論調の報道が目立ちます」
鈴木氏がこう解説するように、『世界日報』が「冷静な対応」を主張する背景には、こうした事情があることも事実なのである。
田中氏もこう続ける。
「日本の一部の有力保守政治家と統一教会が親しいことは、政治を取材・研究する人の間では、周知の事実です。統一教会が、これまで多くの被害者を国内で生み出し、未だに泣いている人たちが多くいることも、取材・研究者や政治家の間では、同じく周知されています。その統一教会が『世界日報』を所有していることも同じです。それにもかかわらず、主要放送局が人気番組において、韓国メディアの世論として同紙の社説を紹介することは、同紙や統一教会の権威を認め、被害拡大につながりかねません。また、日本の有力政治家と近い宗教団体の新聞を、韓国の主な世論とすることは、日韓関係に関するバイアスのかかった情報を国内に広げ、日韓関係を悪化させることにもつながります。TBSには、報道機関の良心に基づき、再発防止を期待します」
なお、当サイトではTBSの「サンデーモーニング」宛に、『朝鮮日報』と『中央日報』だけでなく、『世界日報』をこのリストに加えた理由や、『世界日報』の成り立ち、統一教会との関係性などについての知識があったかどうかについて、取材を申し込んでいるが、現時点まで回答を頂いていない。
<文/HBO取材班>