また、成人誌に関しては同じアメリカでも州によって扱いが異なるようだ。ケンタッキー州出身の男性は次のように語る。
「ケンタッキー州では公共の場では売れないから、成人誌は特定の本屋とかにしか置いていません。日本のコンビニに置いてあるのはどうでもいいし気にしないけど、ちょっと不思議ですね。たとえばアメリカではタイトルは見えるけど、表紙は隠されてたりします。そこは文化の違いかもしれません。現状では日本のコンビニでも特に目立ちませんが、お店の奥にあるお茶などの入った冷蔵庫の隣に成人誌があるのは変かな(笑)。ビデオ屋みたいに、別なセクションにわけてあるほうが納得いきます」(34歳・男性・アメリカ人)
また、同じ在日外国人でも女性からは次のような意見が出た。
「ヨーロッパでは成人誌だけでなく、性をテーマにした雑誌全般が人目につかない棚の上部に置いてあります。日本に関して言えば、最近は見なくなりましたが、コンビニで成人誌を読む人がいるのが気持ち悪い。カバーがかかっていたり、中身が読めないなら別に売ること自体はいいと思います。それに成人誌だけでなく、おおっぴらにSEXを扱う週刊誌はどうなるんでしょうか? そういった場合でも、過激な内容が袋とじに入っているぶんには、置いてもいいと思います。日本は高齢化が進んでいますけど、成人誌が規制されたら、お年寄りが困るって考え方もあるかもしれませんね」(33歳・女性・ノルウェー人)
これらはあくまでも普段日本で生活している外国人の意見。では、東京五輪に向けて増加するとされている観光客の場合はどうだろう?
「泊まっているホテルの近くにあるコンビニに入ってみたことはあるけど、雑誌の棚を気にしたことはないね。そんな騒動があること自体、初めて知ったよ」(35歳・男性・アイルランド人)
と、そもそも気づかない人も多いようだ。
また、撤去することへの賛否はさておき、外国人を理由にするべきではないという意見もあった。
「言われて初めて成人誌が置いてあることを知りましたが、撤去するべきだという人がいるのもわかります。ただ、仮に置いてあったとしても、そういう文化なんだと思うだけで、それで気分を害したり、怒る外国人はいないんじゃないでしょうか?」(41歳・男性・オーストラリア人)
また、昨今ではコンビニでは外国人店員が増えているが、彼らにも話を聞いてみた。
「最初の頃はびっくりしましたし、ちょっと嫌でした。でも仕事なのでそのうち気にしなくなってました。置かなくて良くなるならばそれはそれで良かったかなと思います」(21歳・女性・ベトナム人)
さまざまな意見が噴出している成人誌の販売中止。確かに児童や女性の目に扇情的な表紙が目に入ってしまうことを考えれば遅すぎとも言える決断だという声があるのもわからないでもない。ただ、こと外国人ユーザーに関しては、賛否以前にこの決断にあまり注目していないのかもしれない。
<取材・文/林 泰人>