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500ユーロ(62500円)紙幣が廃止されることになって、1月27日から回収が始まっている。なお、ドイツとオーストリアは4月29日から回収が始まる。理由はこの2か国では500ユーロ紙幣の使用頻度が依然として高いからだとしている。
欧州中央銀行(ECB)が500ユーロ紙幣の市場流通の廃止を決めた一番の理由は、犯罪の対価として500ユーロ紙幣が集中的に使用されているからだとしている。資金洗浄、麻薬の売買、汚職といったことに500ユーロ紙幣が一番多く使用されているからである。
500ユーロ紙幣は別名
「ビンラディン紙幣」とも呼ばれている。例えば、高額の支払いには500ユーロ紙幣だと200ユーロや100ユーロ紙幣に比べ枚数が少なくて済むのでかさばらない。犯罪の対価には最適なのである。地中海沿岸の南欧諸国では地下経済が盛んであるが、そこではインボイスなしの支払いが横行しており、500ユーロ紙幣は重宝されて来た。(参照:「
El Independiente」)
英国では2010年以降、両替で500ユーロ紙幣は対象外とされた。両替しなくなったのは英国で摘発された犯罪で流通していた資金の90%が500ユーロ紙幣で占められていたからだという。(参照:「
El Pais」)
スペインが不動産バブルで建設ラッシュの最盛期の頃で2007年だと、7種類のユーロ紙幣(5、20、50、100、200、500)の27%は500ユーロ紙幣で占められていたという。高額な建設費用の建材の購入などの一部を、帳簿には表れないようにして税金の負担を少なくするためにインボイスなしで現金で支払うというのが横行していたのだ。その為にはかさばらない500ユーロ紙幣が最適だったのである。
しかし、バブル景気が去った現在では500ユーロ紙幣は市場で全紙幣の6%を少し上回っている程度だという。
また、バブル景気には関係なく日常生活でも500ユーロ紙幣で少額の買い物をしようものなら売る側から拒否されるのが一般である。その為のおつりの返済が大変だからだ。日本円にして6万円相当の1枚の紙幣で数百円程度の買い物をするとなると売る側が用意せねばならないおつりのことを考えると売りたくないとなるのである。