イラスト/栗原陽平
日経平均が2万4000円台を突破したのも束の間、その後の全体相場は荒れ模様。だが、個別に見れば、株価が2倍以上に化けそうな銘柄が潜んでいる。今のうちに仕込んで、平成最後の年にハイリターンをゲットしよう!
スマホ需要減は好材料到来の兆し。半導体銘柄を狙え!
「スマホの需要に翳りが見え、好調だった半導体関連の銘柄は下落しているものも多い……。ただ、スマホの悪材料は、
今後、逆に半導体関連の買い材料になる可能性が高いでしょうね」
ライジングブル投資顧問の藤村哲也代表は、スマホの需要の落ち込みは、ほかの次世代技術へのシフトを意味し、過渡期の後には半導体関連銘柄の買い場がやってくると予想する。
「半導体関連の銘柄に調整が入った大きな要因は、先頃、iPhoneの減産が報じられたように、これまでスマホの需要を牽引してきた中国で消費が落ち込んだからでしょう。さらに、米中貿易摩擦の影響で、中国で続々と建設されていた半導体の工場の計画に遅れが出たり、立ち消えになっている。中国が半導体を自国で賄うにも、半導体の生産装置をアメリカから買う必要があるが、トランプ大統領の制裁で不可能になってしまった。こうした懸念材料もあり、半導体用のシリコンウェハー生産で世界2位のシェアのSUMCOは株価を高値から半減させたほどです。例年なら、年末はクリスマス商戦も手伝って、年末に向かい半導体業界は見通しが明るいのですが、’18年はそうなっていない……。とはいえ、今起きていることは、半導体を材料とする製品の主流が、スマホからシフトしつつあることを同時に示している」
10月26日に発売されたiPhone XRの販売が伸びず、500万台減産という報道も……。スマホの需要は一段落したようだ
藤村氏は、現在は過渡期にあたると見ている。では、これまで半導体の用途の主流だったスマホから、何に移行していくのか。
「業界は今現在は不調ですが、視点を変えれば、
半導体や電子部品の用途は今後、IoTやEV(電気自動車)などにシフトしていくことは明らかです。さらに’19年には、5Gが導入されるので、IoTは一層加速していくし、当然、それらを用途とする半導体の需要は高まるでしょうね」
IoTデバイスの利用を想定している5Gが導入されれば、1㎢当たり、実に100万台の端末を同時接続できるという。「モノのインターネット」を意味するIoTは、家電はもちろん自動車など普及の範囲は広大だ。そのインパクトは絶大なものになるだろう。当然、半導体関連銘柄には好材料だ。藤村氏は、推奨銘柄としてまず信越化学とSUMCOを挙げてくれた。
「半導体の原材料のシリコンウェハーは必要不可欠なので、半導体をどこの
国でつくろうが、信越化学工業やSUMCOの高品位の材料は代替が利かない。しかも、生産には大掛かりな設備が要るので、急に増産することは難しい。だから需給はタイトな状態が続き、価格は上昇傾向にあるが、今後も供給過剰になることは考えにくい。ただ前述したように、今は過渡期なので、足下の11月、12月にはスマホの不調の影響が出た。とはいえ、こうした悪材料が出尽くした後は買い場になる可能性が高いので、見極めたいところです」
米中が貿易戦争を繰り広げているが、カギを握る半導体の高品位材料は、日本企業が世界1位と2位のシェアを誇る
次に藤村氏が挙げたのは、半導体製造装置で国内首位を独走し、世界でも3位の東京エレクトロンだ。
「今後、IoTが加速すれば、
大量の情報をやりとりするデータセンターの必要性が増していく。このデータセンターの主要な記憶媒体をつくるのに、同社の製造装置の存在感が高まっているのです。ただ、このところ需給が緩んでおり、配当も4.8%と落ち込んできている。さらに下の水準になるなら、買い場と考えていいでしょう」