米株高は「ブレーキの壊れた自動車」なのか?
2014.12.26
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【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など
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米景気指標改善を受け、米利上げ観測が改めて広がってきたが、最近はそれに対して株安に反応しなくなってきた。ただ、金融緩和の見直し、さらに引き締めへの転換は、株高からすると「ブレーキ役」のはず。それでも株高が止まらないのは、「ブレーキ」が壊れている可能性がある。
FRBが利上げしても株高が止まらないどころか、むしろ株高が加速に向かったのは1999年にも見られた現象だ。ITバブルのクライマックスの局面だった。FRBは1999年中に6月から3回利上げに動いたが、株安への反応は鈍く、回を重ねるごとにむしろ利上げでも株高に拍車がかかるようになった。
1999年当時、利上げという「ブレーキ」を踏んでも止まらなくなった株高は、「ブレーキ」の壊れた車だったのかもしれない。そんな「ブレーキ」の壊れた車が止まるのは自滅しかなかっただろう。それが2000年に入ってからのITバブル破裂だったのだろう。
このITバブル破裂前後で主役の一人を演じたのは、今ではほとんど忘れられてしまった可能性のあるY2K問題だった。いわゆるコンピューター2000年問題だ。2000年対応の遅れたコンピューターが、西暦が2000年に変わるところで大混乱に陥るかもしれず、その対策で中央銀行は緊急資金供給を準備しているとの見方があった。
ITバブルのピークは、NYダウが2000年1月、そしてナスダックは2000年3月だった。こんなふうに利上げという「ブレーキ」を踏んでも株高が止まらず、ITバブルが2000年以降に続いたのはY2Kの影響もあっただろう。
さて、現在はFRB超金融緩和で続いてきた米株高が、QE終了など金融緩和見直しを進める中でも今のところ続いている。QE終了は株高にとって「ブレーキ」ではないのか、あくまで利上げという「ブレーキ」を踏むまで株高は止まらないのか。それともすでに「ブレーキ」の壊れた車といえる株高なのか?
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