レーダー照射問題、外交問題化した日本側が一方的に投げ出し。「威嚇飛行」も再発生!?
前回、韓国国防部の12月24日と1月15日の定例ブリーフィング全文全翻訳も大きな反響をいただきました。そのうえで1月21日に予定された防衛省による新証拠公開を大いなる期待をもって迎えました。この「決定的証拠」(※1月8日付の読売新聞によれば、”防衛省は、照射された電波を収集・解析した結果、火器管制レーダーと断定している。火器管制レーダーの特徴である強い電波を連続受信しているといい、「決定的な証拠」(防衛省幹部)となる”としていたという)をもって日韓間における協議を進め、真相解明と今後への教訓を得ることが可能となるというのが私の期待であり、その推移を執筆する予定でありました。
ところが実際には、なにやら加工済みの正体不明の音(参照:韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について平成31年1月21日防衛省)を持ち出し、「最終見解」(参照:韓国レーダー照射事案に関する最終見解についてpdf版)なるものを発表した上で、「本件事案に関する協議を韓国側と続けていくことはもはや困難であると判断いたします。」と表明し、今後の協議、交渉から一方的に降りてしまいました。本件事態を外交問題化したのは日本政府ですが、その日本政府が一方的に投げ出してしまったのです。
まさに吉本新喜劇の池乃めだかさんによる定番ギャグ、「よっしゃ、今日はこれぐらいにしといたるわ!」そのものです。これを外交の舞台で世界が注視する中、日本最強且つ世界でも屈指の暴力装置=軍事組織である自衛隊を統括する防衛省が行いました。
流石にこの事実は、執筆意欲を完全に失うほどに脱力させられるものでした。しかし、『The National Interest』といった合衆国の外交専門誌での論評や、韓国国防部による会見が続いております。一方で国内では、もはや安普請の低予算アニメのようなデマゴギー(フェイク・ニュース)がマスメディアの報道と称して氾濫していますので、放置はできないと気を取り直すこととしました。
防衛省が1月21日の夕刻に開示した「決定的証拠」や各種発表は、今回リンクのみでご紹介していますので読者各位ご一読ください。
今回は防衛省発表に対して1月21日と1月22日に示された韓国国防部発表について全文邦訳を掲載します。今回も全文邦訳を安宿緑(やすやどろく)さんにしていただきました。
本稿では、韓国側の発表の正当性の評価はしません。あくまで事実の提供という形で、重要と思われる部分の強調と必要と思われる注釈のみいたします。
韓国国防部1月21日声明は、ホームページでは公開されていませんので、各方面に手配し、入手しました。韓国側の報道など照合して正しいもの(真物)と判定しています。そのため原文との対訳形式として記載します。翻訳は前述のように安宿緑さんで、強調・注釈は筆者、牧田寛になります(以下同)
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2018/1/21 [국방부 대변인실에서 알려드립니다]
2018年1月21日[国防部代弁人室よりお知らせします]
<국방부 대변인 온브리핑 멘트>
ㅇ 일측이 근거자료 제시 없이 이른바 전자파 접촉음만을 공개한 뒤 사실 관계를 검증하기 위한 양국간 협의를 중단한다고 한데 대해 깊은 유감을 표명함.
<国防部代弁人オンブリーフィングメント>
・日本側が根拠となる資料の提示もなく、いわば電磁波接触音だけを公開した後、事実関係を検証するための両国間協議を中断したことに対し、深い遺憾を表明する。
ㅇ 일측이 제시한 전자파 접촉음은 우리가 요구한 ‘탐지 일시, 방위각, 전자파의 특성’ 등을 전혀 확인할 수 없으며 실체를 알 수 없는 기계음임.
・日本側が提示した電磁波接触音では我々が要求した「探知日時、方位角、電磁波の特性」などをまったく確認できず、実体を知ることのできない機械音である。
ㅇ 우리측이 지속적으로 강조한 바와 같이 정확한 증거를 제시하고 양국 전문가가 참여한 가운데 과학적이고 객관적인 검증에 적극 응할 것을 촉구함.
・我々が持続的に強調した通り、正確な証拠を提示し両国の専門家が参与する中で科学的かつ客観的な検証に積極的に応じることを求める。
ㅇ 이번 사안의 본질은 인도주의적 구조활동 중인 우리 함정에 대한 일 초계기의 ‘저공위협비행’이며 이에 대한 재발 방지와 일측의 사과를 거듭 촉구함.
・このたびの事案の本質は人道主義的救助活動中である我が艦艇に対する、日本の哨戒機の「低空威嚇飛行」であり、これに対する再発防止と日本側の謝罪を繰り返し求める。
ㅇ 우리 정부는 공고한 한미 연합 방위체제와 더불어 한일 안보협력 강화를 위한 노력은 지속발전시켜 나갈 것임.
・我が政府は公告した韓米連合防衛体制とともに、韓日安保協力強化のための努力は引き続き発展させていく。
<ADD 이범석 제3기술연구본부장 온브리핑 멘트>
ㅇ 당시 다양한 종류의 레이다가 운용되고 있었으며 현재 일측이 공개한 전자파 접촉음은 너무 가공된 기계음이어서 추적 레이다 관련 전자파 접촉음이라고 단정할 수 없습니다.
<ADD イ・ボムソク第三技術研究本部長 オンブリーフィングメント>
・当時、多様な種類のレーダーが運用されており、現在日本側が公開した電磁波接触音はあまりにも加工された機械音で、追跡レーダー関連電磁波接触音であると断定できません。
ㅇ 일측이 시스템 로그파일을 제공하지 않아서 당시 획득된 전자파 접촉음이라고 확정할 수 없습니다.
・日本側がシステムログファイルを提供しないので、当時獲得した電磁波接触音であると確定できません。
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韓国国防部 1月21日声明 全文対訳形式
この連載の前回記事
2019.01.21
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