統一教会は同年10月12日、幕張メッセにおいて教団名変更式典『世界平和統一家庭連合出帆大会』を開催した。
式典には国会議員から60通以上の祝電が届き、鳩山邦夫と亀井静香からの祝電が読み上げられた。
来賓として祝辞を述べたのは自民党衆議院議員の工藤彰三と民主党衆議院議員の鈴木克昌。文部科学委員の工藤彰三は、いざという時の責任逃れのためかコンプライアンス(法令遵守)を強調。当時の民主党の中でも保守色の強かった鈴木克昌の祝辞は、教団が推し進める日韓トンネル構想を麗賛するなど統一教会にへつらうもので、問題教団に媚を売る政治家の恥知らずさが浮き彫りとなった。
その後、懸念された勧誘被害は現実となった。名称変更からわずか数か月後、街頭では新教団名しか表記されていないチラシを使った勧誘が行われていた。
旧教団名を併記していない勧誘チラシ(2015年10月入手)
そして一年が経ち旧名表記の縛りが解けた2016年8月27日、街頭では新旧の教団名すら名乗らない偽装勧誘が横行。街頭で偽装勧誘に従事する青年信者は筆者に「統一教会じゃないんですよ。もう言わなくて大丈夫なんです」と嬉しそうに語り、勧誘グループのリーダーも「27日からは統一教会と言わなくてもよいという連絡が来た」と教団本部からの指示があったことを明かした。
翌2016年、夏に参院選を控え衆参同日選挙に踏み切るのではと噂されていた年明け初頭、安倍政権と問題教団は国民を欺く新たな策動に手を染める。その手駒として使われたのは従順な2世信者たちだった。
次稿では安倍政権と教団首脳との間に交わされた新たな裏取引に関し、ある重大な疑惑を検証する。(文中敬称略)
<鈴木エイト(やや日刊カルト新聞主筆)・Twitter ID:
@cult_and_fraud>
すずきえいと●滋賀県生まれ。日本大学卒業 2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表~主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め「週刊朝日」「AERA」「東洋経済」「ダイヤモンド」に寄稿。宗教と政治というテーマのほかに宗教2世問題や反ワクチン問題を取材しトークイベントの主催も行う。共著に『
徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)