ゴーン逮捕で忘れてはいけない。2018年の大型企業不祥事を改めて振り返る

ローン審査に通りやすくなるよう書類の改ざんを指示していた事実を認めて謝罪するスルガ銀行。11月14日には半期決算を発表。最終損益は985億円の赤字に 写真/産経新聞社

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ゴーン逮捕で忘れてはいけない、不正融資問題のスルガ問題の根幹

 ’18年も日本は数多くの企業不祥事に見舞われた。その一つがスマートデイズの「かぼちゃの馬車」。家賃保証付きのシェアハウスを販売しながら、一方的に家賃の支払いを停止したことで、銀行ローンの元利金の支払いができなくなるオーナーが続出した。普通の会社員に1億円前後の高額物件をフルローンで購入させるデタラメぶりを考えれば個人の投資責任も追及したくなるものだが、銀行がグルとあれば話は変わる。不正に加担したスルガ銀行は、ローンが下りやすくなるように、銀行預金残高の改ざんを指示したり、改ざんを黙認。ただでさえ、3.5~4.5%と高い利息得ているにもかかわらず、さらに高利のフリーローンの契約をセットにすることで融資残高を増やし続けていた。  この事件の根は深い。突き詰めれば、動機は日銀と金融庁にある。’16年2月に導入されたマイナス金利政策が長期金利を大きく押し下げ、金融機関の業績を急激に悪化させたからだ。そんな環境で不正に手を染めながら収益を伸ばしたスルガを、「新たなビジネスモデルを作り上げた地銀」と森信親・前金融庁長官は絶賛。同じく、“森前長官お墨付き”の西武信金も不動産投資向け融資の不正疑惑が持ち上がり、「第二のスルガ」と話題を呼んでいる。国が不正の温床を作り上げただけに、第三、第四のスルガが表れる可能性も高い。

10月に免振・制振用ダンパーの検査データ改ざんが発覚したKYB。同製品の性能不足も相次ぎ発覚 写真/産経新聞社

ゴーン逮捕に見る日産とフランス政府の確執

 このほか’18年は新たに検査データの不正改ざん事件も次々と明るみに出た。油圧機器大手のKYB(旧・カヤバ工業)が免振・制振用ダンパーの検査データを改ざんし、日立化成は半導体材料などの幅広い製品で検査不正を行っていたことを発表した。日立化成の事件は、不正の対象が「素材」という面で、広範囲に悪影響をもたらしている。だが、これまで発覚した自動車メーカーや神戸製鋼などの不正改ざん事件と、構図は何ら変わりがない。人手不足で現場が疲弊する一方、トップは高い数値目標を掲げる。ガバナンス機能を働かせずに業績を優先すれば、現場に歪が生じるのも当然だ。  その点で、日産自動車のカルロス・ゴーン会長の逮捕騒動は落としどころが見えない。権力者の思惑が複雑に絡み合っているからだ。ルノーは仏政府を筆頭株主(15%)とする企業で、日産はルノーから43.6%の出資を受けているグループ会社。事実上、ルノーと日産は親と子の関係だ。ところが仏政府は親子関係でなく、経営統合を求めた。その急先鋒がマクロン現大統領。’15年のオランド政権で経済・産業・デジタル大臣として、「2年以上保有する株主の議決権を2倍にする」というフロランジュ法を強引に承認させた人物で、仏政府のルノーの議決権を高めて日産との経営統合を実現し、日産をフランスのものにしようと考えたのだ。  ’18年にゴーン氏の後を引き継いで社長に就任した西川廣人氏ら日産経営陣が、強まるフランス支配に警戒心を強めていた可能はある。だが、専務執行役員など数人が司法取引に応じたことを考えても、ゴーン氏の私的流用など以前から社内では知られていたことと見ていいだろう。実際、フランスの投資コンサルタント会社Proxinvestは、以前からゴーン氏の不透明な報酬問題を告発していた。仮に不正に加担していたり、見て見ぬふりをしていた役員の責任が問われないのだとすれば、ゴーンなき日産のガバナンスは回復するのか? フランス政府がルノーを通じて日産と三菱自動車を完全子会社化し、フランスの会社にしてしまう可能性が高まったと考えられる。 ― Day Code Times ―
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