スペイン日産のWebサイト
日産スペインの労働組合は1月15日、稼働不足により生産量が大幅に後退していることに不満を表明し、それを経営者側の戦略不足によるものだとした。
バルセロナのソナ・フランカとモンカダにある工場では現在生産能力の僅か38%を満たしている生産量にすぎず、生産されていたモデルの生産廃止と新しいモデルの不足がその要因としてあることを組合側は表明した。生産廃止となったモデルにはパルサーとNV200エヴァリア(バネット)がある。ガソリン燃料車NV200はすべて生産中止となることになっている。
特に、パルサーの生産の折には投資や新たな雇用もあって従業員は給与の削減も受け入れたという経緯もあった。しかし、その成果は期待を裏ぎる結果となったが、組合側はそれをプロモーションへの投資不足や生産放棄が早すぎたと批判した。
そのような影響もあって、組合側では昨年の生産量82500台から今年は78000台に減少すると予測している。(参照:「
La Vanguardia」、「
El Pais」)
今から4年前の2014年に電気商用車としてのNV200が生産される段階で、当時の日産スペインのフランク・トッレス社長は『El País』の取材に「2015年末には21万台の生産体制になる」と言及したほどであった。(参照:「
El Pais」)
しかし、実際には2014年の時点で生産された台数は12万7800台であって、21万台に届くには遥かに遠い数字であった。
さらに、それ以後現在に至るまで生産量が上昇するのではなく、逆に生産量は徐々に下降しているということが問題の深刻さを物語っている。2016年に少し回復はしたが、2017年、2018年と生産量は減少し、昨年は8万2500台にまで落ち込んだのである。(参照:「
El Pais」)
その一方、従業員は2014年度の3900人から2018年度の3732人とほぼ安定している。生産量が減少しているのに、従業員はそれに比例して減少していない。即ち、余剰従業員を抱えているということになる。2014年から2018年までに170人が解雇されたが、更に従業員の解雇が必要とされているという。
また、現社長のヘニス・アロンソは中長期に亘って安定した生産が保障できるプランを構築しており、それを今年第一四半期に発表できるようになると指摘している。その基本にあるのは大量の生産量を目指す工場ではなくなるということだとしている。(参照:「
El Pais」)
この2年間生産量が減少しており、新しく生産モデルを加えるにもあと2年は必要と見られていることを考慮すると、それは従業員のさらなる削減を意味するものと受け止められている。