サウジ人記者の殺害で、皇太子の関与が疑われたことなど、原油価格には政局が反映されやすい 写真/AFP=時事
ハイリターンが期待できるというイメージこそあれど、意外とチャレンジしたことのない人も多い商品先物取引。その基本的な仕組みと、商品タイプ別の投資ポイントを一挙紹介する!
上昇から一転、急落中の原油価格 年初からの手堅い投資戦略とは?
エネルギー価格や物価変動の大きな要因となっている原油価格。’18年を振り返ると、アメリカのトランプ政権がイランに経済制裁を科し、イラン産原油を市場から締め出したことで、原油価格の国際指標であるニューヨーク商品取引所のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は上昇を続けた。このため、ガソリン価格も高騰し、資源エネルギー庁が発表するレギュラーガソリンの店頭価格(全国平均)は、10月に4年ぶりの高値となる160円台をつけたほど。
ところが、トランプ政権が11月に第2弾を再開した対イラン制裁では、一部の国にイラン産原油禁輸の適用除外を認めた。これで供給不安が一気に和らぎ、原油価格は急落。上昇前となる年初の水準まで戻してしまった。
「ガソリン価格の高騰に悩まされていたドライバーには、ようやくホッとできる局面がやってきます。東京商品取引所のガソリン先物価格は原油価格の下落を受けて秋から急落しており、年末から市中のガソリン価格にも反映されています」(トーキョー・トレーダーズ・タイムズの小針秀夫氏)
’19年以降の原油相場についても、当面は下落傾向が続くことが予想される。
「原油価格は世界の景気、特に消費量の多い中国の経済や自動車販売の影響を受けやすい。7~9月期の中国の国内総生産(GDP)の成長率を見ると、中国景気は明らかに減速しており、原油価格の押し下げ要因となっています」
また、原油需要の重要な指標となる中国の新車販売台数は、’18年7月から10月まで4か月連続の前年割れを記録している。おそらく通年でも28年ぶりとなるマイナス成長となることが予想されているのだ。
「中国からの輸入品に高関税を課す米中貿易戦争の影響も加わり、原油の需要は大きく落ち込む可能性が高いでしょう。よほど厳しい減産をしない限りは、価格の維持は難しくなりそう」