「下流化」が深刻化しやすいのは女性。追い詰められる貧困女性

 ’19年10月の消費税増税は、新たな下流社会の幕明け―。賃金が一向に上がらないままでの増税は、消費が確実に低迷し、企業の収益や税収が悪化、賃金はより下降して、本格的な“デフレ”の再来が懸念されている。さらに外国人受け入れ問題、急速に活用が進むAI(人工知能)など、誰もが当事者たり得る“下流転落の火種”が忍び寄る。僕らの未来にあるのは希望か絶望か。
食事

食事は一日2食だが、受給日前はインスタントラーメン1袋を2回に分けて食べることも。古びた給湯器も年1回は止められる

下流化が止まらない。生活保護から風俗堕ちも…

 下流化が深刻化しやすいのは男性ではなく、むしろ女性だ。『孤独死大国』(双葉社)の著書でノンフィクションライターの菅野久美子氏は「女性は非正規雇用も多く、賃金も40代以降に下がるというデータもあります。ちょっとした躓きで、下流に陥ることも多い」と話す。西村真美さん(仮名・40歳)は下流にはまり、さらに“風俗堕ち”した一人だ。 「20代の頃は手取り15万円のOLで、生活費のために週2~3回はキャバクラ嬢もしていました。もともとお酒が弱かったこともあり30歳を過ぎて辞めて、お店で知り合った彼氏との結婚を考えていたのですが……」  しかし、西村さんが35歳のときに重いアレルギー系の大病を患い、同時に彼氏も逃げるように去った。頼る身寄りもないことから、生活保護を受けることになってしまう。 「私の住む足立区の単身者の生活保護費は、月13万円ほど。その中には家賃も含まれます。体調のいい日は朝2時間ほどケースワーカーから勧められたスーパーのバイトをして、廃棄処分前の惣菜をもらう苦しい日々でした」  社会復帰を夢見ていたが、重めの持病を持つ彼女を雇うのは、やはりどれも低賃金のものばかり。そして’18年10月から実施されている食費や光熱費など生活費分の段階的な引き下げが、彼女を静かに追い詰めた。
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追い詰められた先にあるもの
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