「テロリスト」として殺される人々の多くは、実は一般市民。安田純平氏が語る「戦場に行く理由」

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昨年末12月26日に開かれた緊急シンポジウム「安田純平さん解放とジャーナリズムを考える~戦場取材の意義と『自己責任』論」

 昨秋、シリアから3年4か月ぶりに帰還したジャーナリストの安田純平さん。昨年末の12月26日、紛争地取材の意義や「自己責任」論についてのシンポジウムが都内で行われた(雑誌『創』新聞労連が主催)。会場では、安田さんや元朝日新聞編集委員の川上泰徳さん、共同通信編集委員の原田浩司さんなどが発言した。

「テロリスト」とされた人々は血の通った人間で、それぞれの生活や人生がある

 イラク戦争は2003年3月の開戦直前から、シリア内戦も2012年に現地入りして取材してきた安田さん。危険な紛争地取材を続けてきた動機として、「対テロ」戦争への違和感があるのだと言う。 「『対テロ』戦争で、犠牲となっているのは多くは一般人です。2004年にイラクで拘束された際も、私を捕らえていたのは地元の農家の人たち。『テロリスト』と言われている人々の多くは、実は一般市民なのです」(安田さん)。  2004年4月、当時安田さんと取材をともにしていた日本人男性は、イラク中西部ファルージャ近くで地元の自警団的な人々に拘束された。だが、彼らはあくまで地元の住民を守ることが目的であり、米軍側のスパイでないとわかると、安田さんたちに謝罪し解放したという経緯がある。つまり、日本で報じられていたような「人質」事件ではなかったのだ。  また、安田さんは「シリア政府が『テロリスト』として殺している人々の多くも、一般市民でした。毎日、迫撃砲や空爆で無差別に殺されている人々の多くは子どもたちでした」と、2012年のシリアでの取材の経験を語った。  人々を記号化して、簡単に殺してしまうことが正当化される「対テロ」戦争。その中で殺されているのは血の通った人間であり、それぞれの生活や人生がある。安田さんが紛争地取材へと向かうのは、そのことを自身で見て伝えるためなのだ。  筆者もイラク戦争を幾度も現地で取材してきたが、「テロリストを◯名拘束した/殺害した」という米軍の発表をそのまま伝える、日本のメディアの報道のあり方に疑問を持ち続けていた。それは本当にテロリストなのか、それは一般市民ではないかと。だから、安田さんの問題意識には、大いに共感するところがある。 「非常に凶悪な事件を起こした人物であっても、処罰するためには、本当にその人物が犯人なのか、証拠を集めて裁判で本人側の主張も聞く、ということをしなくてはいけません。しかし、『テロリスト』という記号にあてはめたとたん、殺していいということになってしまう。人ではない、殺されても仕方ない、ということにしてしまうのです」(安田さん)
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「戦争をしる者」がいることの大切さ
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シリア拘束 安田純平の40か月

2015年6月に取材のためシリアに入国し、武装勢力に40か月間拘束され2018年10月に解放されたフリージャーナリスト・安田純平。帰国後の11月2日、日本記者クラブ2時間40分にわたる会見を行い、拘束から解放までの体験を事細かに語った。その会見と質疑応答を全文収録。また、本人によるキーワード解説を加え、年表や地図、写真なども加え、さらにわかりやすく説明。巻末の独占インタビューでは、会見後に沸き起こった疑問点にも答える

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