辺野古問題に取り組む近藤昭一会長(右)は「赤土投入で違法な行為をしているのは政府」と強調
なぜ両者の言い分が食い違うのか。「仕様書どおりの材料であることを確認」したのに、どうして赤土が投入されているのか。これについて伊波氏は視察最後の謝花喜一郎副知事との面談で「赤土でもパスする検査方法になっている」と指摘、次のような説明をしていた。
「『岩ズリのみである』という過去の調査資料を根拠にして『現在の埋め立て用土砂も同じ』という前提で検査している。しかも微細粒子の割合を10%以下に抑えないといけないのに、赤土と同程度でも通る水準になっている。それで赤土でもすり抜けてしまうのです」
謝花沖縄県副知事との面談後の囲み取材で、「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」の近藤昭一会長(衆院議員・立憲民主党)は「赤土投入については古い(調査)データを持って来て『これで大丈夫だ』と言っているが、違法な行為をしているのは政府だと思っている」と強調した。
これほど甘い検査であるにもかかわらず、菅官房長官は「仕様書どおりの材料であることを確認(適合)」と強弁、一目で赤土と分かる土砂が投入されている現実から目を背けているのだ。台風襲来で護岸が損傷して赤土が大浦湾側に流出、貴重なサンゴ群落が死滅するリスクを安倍政権は無視しているともいえる。
<取材・文・撮影/横田一>
ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた
『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他
『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数