また、気になる時限爆弾もある。
土地をどうしても手放したくない地主さん向けに1992年、定期借地権という制度が設けられた。
地主側には固定資産税プラスいくらかという実入りしかなく、借り手側は賃料が安いものの無駄に広い敷地、さらに50年後には更地に戻して出ていかなければならないという両者にメリットの見出し辛い制度だ。
この初満期が2042年に控えている。
定期借地権には平均的に1000万円以上という保証金を入れる「敷金」に似たシステムがあるのだが、保証金を返却できる余力の残っている地主さんはその頃どれくらい残っているだろうか。
輪をかけて大変なことになってしまったのが最高裁の判例だ。
定期借地権で扱われる「保証金」に対し司法判断は「土地に対する保証金ではなく、個人間取引の保証金」としたのだ。
そのため、なんらかの理由で借り手が立ち退く場合、その都度その都度保証金を地主さんが返却しなければならないというチグハグが生まれてしまうことに。
保証金の返却には大抵の場合1年という返済までの猶予が設けられているのだが、次の借り手がついてくれればその保証金を返済に充てられるものの、借り手がつかない場合は貯蓄を切り崩すか土地を売却しなければならない。
もちろん交渉も発生するわけだが、地主さんからの「安くするから借り続けてくれないか」「保証金を返さないかわりに、そのまま土地を譲るから相殺してほしい」このような申し出が既に断られ始めている。
この2042年にピークを迎えるであろう定期借地権問題。
予測では国内にある約43%が空き家と考えられているその頃、土地価格が現状に近い価値で推移できている地域はどれだけ残されているのだろうか。
長らく土地の恩恵というぬるま湯にどっぷりと浸かりきってきた都市型の地主さんたち、事態が急速に悪化する前に先手を打つことが出来るものだろうか。
<文/ニポポ(from トンガリキッズ) イラスト/
いらすとや>
2005年、トンガリキッズのメンバーとしてスーパーマリオブラザーズ楽曲をフィーチャーした「B-dash!」のスマッシュヒットで40万枚以上のセールスとプラチナディスクを受賞。また、北朝鮮やカルト教団施設などの潜入ルポ、昭和グッズ、珍品コレクションを披露するイベント、週刊誌やWeb媒体での執筆活動、動画配信でも精力的に活動中。
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